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「漫画村を置き換えたい」 “合法無料漫画サイト”「漫画ビレッジ」開発者の思い(2/3 ページ)

» 2018年06月15日 09時30分 公開
[岡田有花ITmedia]

「漫画村を置き換えたい」 サイト名や構成、あえて「漫画村」に似せる

 サイト名は当初「コミフリ」にしようと考えていたが、直前になってあえて、漫画村に似せた名称「漫画ビレッジ」を選び、「manga-village.com」のドメインも取得した。漫画村に似せることで、漫画村のユーザーに漫画ビレッジに来てもらい、合法に、お金を払って漫画を楽しむ習慣をつけてほしいと考えたためだ。

 漫画アプリなどで無料で提供されている作品の多くは、数話だけ無料で読め、続きを読みたい場合は有料で購入したり、時間が経つのを待つ必要がある。「最初の数話は無料で読んでも、面白ければ続きが気になり、有料でも購入するはず。無料漫画を探している人にも、最終的にはお金を払って読んでもらいたい」と遠山さんは言う。

画像 遠山さん

 遠山さん自身は毎月5万円ほど漫画の電子書籍に費やすほど漫画好きで、海賊版サイトは使ったことがないという。「漫画村の影響で、中高生に『漫画は無料』という認識が広がるのは良くないと思っている」。有料で販売されている作品が海賊版サイトなら無料で読めるとなると、読者にとってはありがたいことのように思うかもしれないが、「正当な対価を支払わないとどこかにひずみが出て、漫画のエコシステムが壊れてしまう」と遠山さんは考える。

 サイトデザインも「漫画村」にあえて似せている。「漫画村はユーザーのことをすごく考えて作られており、出版社などの漫画アプリよりはるかに使いやすく、読みやすかった」ことに加え、「漫画村に慣れている人に漫画ビレッジに来てもらいたい」という思いがあるためだ。遠山さんは漫画村を使ったことがなかったため、過去のWebサイトを検索・確認できる「Internet Archive」で漫画村を見つけ、参考にした。

 漫画ビレッジは今後、SEO(検索エンジン最適化)を進めることで、ネット上で無料の漫画を探している多くの人にアプローチしていきたいという。具体的には、「無料 作品名」で検索した時、漫画ビレッジの作品が上位に来るようにしたいと考えている。

 「漫画村を置き換える存在になりたい。漫画村を使っていた人たちがいつの間にか漫画ビレッジに来て、最初の数話は無料で読めても、続きを読みたいならお金を出して買うのが当たり前、という意識になってもらえたら」

月間コストは10万円以上だが「広告でペイできそう」

 開発にかかったのは約1カ月。個人でゼロからサイトを開発したのは数年ぶりだが、「ここ5年ほどで劇的に開発がラクになった。開発にかかる手間や時間は半分ぐらいになったのでは」と遠山さんは話す。集中すればもっと短期間で開発できたはずだが、「“個人開発あるある”ですが、なかなかやる気が続かなくて……」と笑う。

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