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動作速度を改善した家庭向け“IoT鍵” ソニー子会社がスマートロック新製品

» 2018年07月05日 15時25分 公開
[井上輝一ITmedia]

 IoTデバイスを開発するソニー子会社のQrio(東京都渋谷区)は7月5日、住宅などのドア鍵をスマートフォンから解錠できるスマートロックの新製品「Qrio Lock」(キュリオロック)を発表した。従来製品に比べて操作から解錠までのレスポンスを向上した他、オートロック、自動解錠の機能を改善したという。7月19日に発売する。直販のオンラインストア価格は2万3000円(税別)。

玄関ドアなどの鍵をスマートフォンから解錠できるスマートロックの新製品「Qrio Lock」(キュリオロック)

 同社が2015年8月に発売した従来製品「Qrio Smart Lock」は、スマートフォンの操作から実際に解錠されるまで、約1〜3秒の動作遅延があったという。新モデルではこれを改善。従来のおよそ8分の1となる、約0.1〜0.4秒での解錠を実現した。

Qrio Lockの動作レスポンス

 ドア枠にマグネットセンサーを設置することでドアの開閉を感知し、即時の施錠を可能にする「オートロック機能」の他、スマホを直接操作しなくても、スマホを持った状態で家の約100メートル圏内に近づくと自動で解錠する「ハンズフリー解錠」機能を搭載。従来製品でもβ版の機能として提供していたが、新たにGPSとBluetoothから位置情報を取得する仕組みを採用し、精度を上げたとしている。

 ハンズフリー解錠を作動させるには、一時的に家から100メートル以上離れる必要があるという。ごみ捨てといった近場での移動時は、オートロックで施錠されたドアをスマホから手動で解錠する必要がある。ハンズフリー解錠とオートロック機能は、いずれもユーザーが使うかどうかを選択できる。

 Qrio Lockは既存のサムターン式玄関鍵の上からかぶせて設置するため、これまでの物理的な鍵も併用できる。

アプリにはQrio Lockをいくつでも登録できるという。玄関以外の裏戸や個室などにもQrio Lockを設置して操作できる

なぜソニーがスマートロックを手掛けるのか

 Qrioの取締役を担うソニーネットワークコミュニケーションズの井宮大輔マネジャー(IoT事業部門ビジネスプラットフォーム部)は、スマートロック製品を作る理由をこう説明する。

 「IoTホームにおいて重要なのはリビングと玄関。玄関の鍵をIoT化することで、より便利な暮らしを実現できる」(井宮マネジャー)

 Qrio Lockは、別売の周辺機器「Qrio Hub」を使えばネット経由で遠隔解錠もできる。ハッキングなどセキュリティ面をどう考えているかという質問に対しては、「セキュリティこそ最も大事で、Qrio Lockの根幹となる技術。Qrioとソニーが共同で開発しており、何重もの対策を施した」と自信を見せた。

 Qrio Lockの目標販売予定台数は非公開。同社はスマートロックを含めたIoT機器の普及は「見通しは難しい」としつつも、「これから1〜2年で変化があるのでは」ともいう。

 「シンクタンクの予測では、現時点でIoT機器が世間に普及しているという予想だったが、まだそこまでには至っていない。しかし、米Amazonや米Googleなどのスマートスピーカーが家庭向けに出てきた。スマートスピーカーの普及が他のIoT機器の導入のきっかけにもなるのでは」(井宮マネジャー)

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