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チェンバロからバ美肉装置まで 「2018楽器フェア」でさまざまな楽器を体験してきた(2/2 ページ)

» 2018年10月21日 10時08分 公開
[松尾公也ITmedia]
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チェンバロはいい

 人生で初めてチェンバロを弾いた。浜松の楽器メーカーブースに展示されていた、日本で唯一のチェンバロメーカー、三創楽器のスピネットチェンバロ。

 黒檀鍵盤がすごく魅力的で、弾き心地もすごく柔らかい。音量は展示会の喧騒であまり聞こえないが、さすが本物の音だ。いつまでも弾き続けていたい。96万円(税別)。

バ美肉で売れに売れてるボーカルエフェクター

 元々は大阪の会社であったローランドも2005年に浜松に移転している。「VT-4」という新製品が人気だ。人の声の音色や音高を自由に変更できるエフェクターで、これまではミュージシャンのライブパフォーマンスでの利用が中心だったが、今回は特殊な方面に売れているようだ。

 それはバ美肉。バーチャル美少女受肉するために必要な機材としてだ。VTuberの中身は実際にはAIでもなんでもなく、中の人が声を発しているわけだが、美少女キャラVTuberの中の人が必ずしも女性であるわけではない。そんな人たちがどうやって自分の声を女性化しているかというと、ピッチやフォルマントを女声に変更できるソフト、ハードを使うのだ。

 ローランドのボーカルエフェクトは1979年のボコーダーVP-330からの歴史ある製品。その最新版であるVT-4はパラメータの変更をダイヤルで手軽にできるようになったのが特徴だ。ケロケロボイスのかかり具合も手元で調整できる。そのあたりがバ美肉勢に受けたのだろうか。

BluetoothはMIDIからCV/Gateへ

 シンセサイザーやデジタルピアノなどのMIDIポートにつなげてMIDI信号をBluetoothで飛ばすユニークな製品「mi.1」を開発したキッコサウンドも浜松の新興企業。これを使うことでiPhone、iPad、MacなどBluetooth MIDIを使えるデバイスと40年近く前のシンセサイザーとがコミュニケーションできる。筆者もYAMAHA DX7で使っている。キッコサウンドではmi.1の基板部分を楽器の回路に直接半田付けできるモジュールも検討しているという。これは期待大だ。

 そのキッコサウンドが新製品を投入した。MIDI以前、アナログシンセサイザーで使われていたCV/Gateというインタフェース規格をBluetoothでコントロールできる「mi.1e 0|8」と「mi.1e 2|6」だ。

 アナログシンセサイザーの世界では、かつてのMoog ModularやRoland System 700、System 100/100Mのように、シンセサイザーのモジュールを相互接続できるようにしたユーロラック(Eurorack)という規格が流行しており、ローランドもSystem 700をユーロラック対応にしたSYSTEM-500という製品を2015年に発売している。

 キッコサウンドのmi.1eもユーロラックモジュールで、ラックに組み込んでアナログシンセのモジュールを最大8台までコントロールすることができる。Bluetoothで接続した独自開発のiOSアプリでシーケンスさせることが可能だ。スケールも独自の設定ができるなど、ソフトウェアの細かい作り込みがされている。

 会場にはFairlight CMIの実機が置かれていた。1980年代に発売されたサンプラー、DAW(Digital Audio Workstation)で、そのサウンドはエイティーズサウンドのアイコンとなっただけでなく、現在のサウンドメイキングの源流となった。その実物を見るだけでも来る価値があるのではないだろうか。

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