ポケットチェンジという抜け道でWeChatPayへのチャージが成功したところで、実際に現地で使ってみた。ちなみに中国の身分証をWeChatPayに登録していない場合、外国人は中国本土以外でWeChatPayを使うことができない。WeChatPayが使える店舗が増えつつある日本国内はもちろん、途中で立ち寄った香港でも使えなかった。
WeChatPayの使い方は簡単で、店頭にあるQRコードを読み取って支払い金額を指定するか、レジで自分のQRコードを読み取ってもらうだけ。
記者が試したのは、歩き疲れて入った深セン市内のマクドナルドだった。日本でも一部店舗で導入されているセルフオーダーレジがあったので、タッチパネルで商品を選び、WeChatPayを支払い方法に指定。店舗端末の読み取り部にスマートフォンで表示したQRコードをかざせば支払いは完了だ。
他の店舗では失敗もあった。駅の売店でQRコードを読み取る決済を試したところ、店内の電波状況が悪くてうまくいかなかった。おそらく使っていたスマートフォンのLTE対応バンドが中国国内に適しておらず、奥まった室内ではうまく電波をつかめなかったのかもしれない。自国で使っているスマートフォンを持ち込んで使う、訪中外国人が陥りそうな状況ではないだろうか。
もう1つの失敗は、そもそもWeChatPayにログインできなくなってしまったケースだ。実は旅行に、同僚の記者も同行していたが、彼は自身のiPhone 6sに香港の通信事業者が発行した“現地SIM”を入れて使おうとしていた。
日本でWeChatPayの準備を済ませ、香港に到着して早速SIMを入れ替えて使い始めたところまではよかったのだが、いざ中国本土に入ってからWeChatPayを使おうとしたところ、再度ログインを要求する画面が現れた。SIMを入れ替えたタイミングで強制ログアウトされてしまったのだろうか。
しかもログインにはアカウントにひも付けた日本の番号でSMS認証を行う必要がある。残念ながら日本のSIMは香港のホテルに置いてきてしまっていて、彼が意気揚々とWeChatPayにチャージした約2000円は、滞在中一度も使うことはできなかった……。
いずれもユーザーが注意すれば、回避できる失敗ではある。慣れない海外では意外とやってしまいそうな失敗例ということで、これから中国でWeChatPayに挑戦する人の参考になれば幸いだ。
WeChatPayのQRコード決済自体は体験として大きな感動があるわけでもなく、本当にあっけなく終わる。毎回パスコードを入力する必要があるなど、日本のおサイフケータイの俊敏性には劣るが、とにかくWeChatPayが使える店舗の多さが印象に残っている。冒頭で紹介したように、外国人には利用のハードルがとにかく高い。訪中観光客のためにも改善をお願いしたい。
そして、WeChatPayのミソは「現地の人々が日々の生活で本当に使っている」ことだ。モバイルを使いこなしていそうな若者だけでなく、老若男女が生活で使っている──QRコードを使った決済方法はその普及を後押しした一要素でしかない。
日本でも徐々にコード決済の波が押し寄せているが、店舗側のコスト負担を軽減する工夫と、乱立する決済サービスの整理が普及の鍵となりそうだ。
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