ITmedia NEWS >

GarageBandにジミヘンとリンゴがやってきたので新iPad Proが欲しくなるGarageBandオンザラン(1/2 ページ)

» 2018年11月09日 17時15分 公開
[松尾公也ITmedia]

 iOS版GarageBandが2.3.7にバージョンアップされた。これがすごい。ジミ・ヘンドリックスのようなギタープレイ、リンゴ・スターのようなグルーヴのドラミングが可能になるのだ(個人差はあります)。

photo

 GarageBandにはSmart Guitar、Drummerというソフトウェア音源が含まれており、それぞれ本物のギター、ドラムのように演奏できる。Smart Guitarは本物のギターのような弦とフレットを備えてiPhoneやiPadのマルチタッチにより細かい表現まで可能。Drummerはそれぞれ特徴的なキャラクターを持ったバーチャルドラマーたちが指定した範囲を全部自動演奏してしまうというお手軽さだが、その実力は上位製品であるLogic Pro Xでも実証済みだ。

 その2つの音源がこのバージョンアップで強化された。まずはSmart Guitarから。

7年ぶりに追加されたギター音色とは?

 Smart Guitarではこれまで4つのギターから音色を選択できた。いわゆるフォークギターのAcoustic、60-70年代のビンテージロックサウンドのRoots Rock、カントリースタイルのClassic Clean、そしてディストーションが効いたハードロックのHard Rock(ストレートなネーミング)。Acoustic以外はそれらのサウンドの代表的なエフェクターが使える。Classic Cleanならコーラスとエコー、Roots Rockはトレブルブースターとエコー、Hard Rockはオーバードライブとフランジャーといった具合だ。

 これにもう1つ、ギターが加わった。Retro Wah。iOS版GarageBandの歴史は2011年にスタートしたが、それからの7年で初めてギターの音色が追加されたのだ。これでギター音色は5つになった。

photo 5つ目のギターサウンド「Retro Wah」(右端)

 ここで使えるようになった新たなエフェクターは、その名のとおり、ワウワウペダルだ。ペダルの踏み込みで音色を急激に変化させる。カッティングしながらペダルを操作するととたんにファンキーサウンドになる。マイケル・シェンカーのようにワウの位置を固定して独特のトーンを作ることもできる。

 Smart Guitarの演奏をしながらワウを操作するのは難しい。そもそもiPhoneでは画面が狭くて両方操作しながら演奏はできない。ではどうするか。

 TrueDepthカメラの顔認識機能を使うのだ。iPhone Xから導入されたTrueDepthカメラでは顔の表情を読み取ってくれて、AnimojiやMemojiなど、自分の表情とバーチャルなキャラクターの顔を連動させることができる。Retro Wahでは口の開閉とワウペダルの踏み込みが連動するのだ。口を大きく開くと踏み込んだトーンに、閉じるとペダルを戻した状態なる。とてもわかりやすい。

 このワウペダルと顔認識の連動(Face Controlと呼ばれる)は、この連載で3月に紹介している実装済みの技術なのだが、この段階ではリアルなギターをiPhoneやiPadにつなげて、自分で演奏しなければならなかった。AMPという、iOSデバイスをギターエフェクターとして使うモードだ。

 そのワウペダルが、完全にiPhone、iPadの中だけで完結できるソフトウェア音源のSmart Guitarで使えるようになったのだ。

 ここで改めてSmart Guitarの説明をしておくと、ギターのフレットにタッチすることで音を出すノートモード、コードを設定して、ギターを弾き下ろすようにジャーン、ジャカジャカと演奏できるコードモード、さらにコードを押さえるだけで自動的に伴奏してくれるAutoplayがある。

 まずはコード弾きできるコードモードでAutoplayで自動演奏させておこう。そして、画面左側にある顔アイコンをタップ。青くなると顔がTrueDepthカメラで認識されたということなので、演奏に合わせて口を開け締めしよう。フラワームーブメントの頃にトリップできるはずだ。

 ノートモードはスケールをブルーノートなどにできるので、決してミストーンを出すことがない。デタラメにソロを弾き、随所でワウをかましてもそれなりに聴こえる。口を開け閉めして顔でギターを弾く、ジミヘン気分が堪能できるはずだ。

photo 口を開くとワウペダルが押し込まれる
photo 口を閉じるとワウペダルが戻る

 ちなみにRetro Wahのギターアイコンはストラトキャスターではなくレスポールだが、ジミヘンはレスポールも使っていたので問題ない。

 一つ問題があるとすれば、この機能を最大限に使うため、Face IDとTrueDepthカメラを搭載した新しい12.9インチiPad Proが欲しくなってきたということだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.