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スマホで自動採寸、2枚の写真で 米ベンチャーが開発、ECサイトに技術提供へ

» 2018年11月19日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 スマートフォンのカメラで正面と側面の写真を撮ると、全身16カ所を自動採寸できる――米国のベンチャー企業Original(サンフランシスコ)がそんな技術「Bodygram」(ボディーグラム)を開発した。

 スマホアプリによる自動採寸技術は、ZOZOなどが“自前”でコンシューマー向けに開発しているが、Originalは外部企業に技術を提供するB2B(Business to Business)事業として展開する。オーダーメイドのシャツに限らず、寝具などのメーカーもターゲットに技術を売り込む。

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誤差は1センチ以内

 Bodygramは、ディープラーニング技術を活用した自動採寸技術。スマホカメラで正面と側面の全身写真を撮り、身長や体重などを入力すると、周囲の背景から被写体のみを自動抽出して肩幅や首回りなど全身16カ所のサイズを出す。衣服を着たまま採寸が可能だ。

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 Originalによれば、Bodygramの採寸結果とプロのテーラーによるメジャー採寸の結果(800人分)を比べたところ、ほとんどの部位で誤差を1センチ以内にとどめられたという。

 同技術をパートナー企業に提供し、自社のWebサービスやアプリに導入できるようにする。「精度の高い採寸データを取得でき、ECサービスの収益向上、返品率の改善に貢献する」(同社)

 導入企業がそれぞれ収集したデータは、Originalが企業ごとに用意するAmazon Web Services(AWS)のプライベートクラウドで管理する。これらのデータは、Bodygramの計測精度向上にも生かす考えだ。

 オリジナル・ジャパンの藤本学COO(最高執行責任者)は「まずは(ECサイトなどで)一定のトランザクションがある企業がターゲット。2019年度をめどに、日米で2桁の導入事例を作りたい」と意気込む。すでに寝具メーカーのエアウィーヴと業務提携した。体形に合わせて硬さを調節した寝具を生産する過程で、採寸データを活用するという。

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「カスタムシャツ市場全体を広げる」

 Originalは2015年創業。シリコンバレーで働くエンジニアの『服を買いに行くのが面倒くさい』という意見から、Webサイト上で袖やボタンなどを自由にカスタマイズできるシャツ「Original Stitch」を販売してきた。そうしたB2C(Business to Consumer)のアパレル事業を展開する傍ら、自動採寸などの技術開発にも取り組んできた。

 Bodygramは当初、同社のB2Cサービスとしてリリース予定だったが、B2B向けに舵を切る。藤本COOは「他のシャツメーカーと競合するように見えるが、われわれのポジションはソフトウェア会社。Originalが提供したサービスによって、他社がカスタムシャツの市場全体を広げていく可能性もあり得る」と期待を寄せた。

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