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日本人の英会話スキル、AIが評価 イーオンとKDDIが共同開発 英語を話せない記者が体験

» 2018年11月22日 15時57分 公開
[村上万純ITmedia]

 英会話教室を運営するイーオンとKDDI総合研究所は11月22日、英会話を学ぶ日本人向けに、AI(人工知能)を使って英語の発音を評価するシステムを共同開発したと発表した。英語で発話すると、AIがイントネーションやリズムなどを評価し、数値化する。イーオンの自宅学習用サービス内で2019年1月から試験的に導入する。

英会話 英会話を学ぶ日本人向けに、AI(人工知能)を使って英語の発音を評価するシステム
英会話 イーオンの外国人教師がデモを試すと、95点の高得点

 オンライン教材の画面内でマイクに向かって発話すると、AIが発話内容を評価。画面内に採点結果が表示される。

 早稲田大学の松坂ヒロシ教授(教育学部英語英文学科)監修のもと、イーオン独自の評価指標を作成した。(1)単語レベルでの発音とアクセントの評価、(2)リズムやスピードなどの流ちょうさ、(3)文章レベルでのイントネーションをそれぞれ5点満点で評価し、総合評価を100点満点で採点する。

英会話 システムの仕組み
英会話 イーオン独自の指標で評価する

 日本人250人の発話30シーン、204フレーズの音声データと、イーオンの外国人教師による音声データの評価をAIに学習させた。収集した音声データやイーオンの教材データを基にAIが機械学習を行い、利用者の発音を評価する仕組みだ。

英会話 発話内容を数値化

「ゲーム感覚で自習できる」

三宅社長 イーオンの三宅義和社長

 イーオン事業開発課の箱田勝良課長は「ゲーム感覚で繰り返し練習でき、モチベーション向上につながる。自宅にいながらイーオンの教師からフィードバックも受けられるようにする」と説明する。イーオンは全国250のスクールで授業を提供しているが、「Speaking」(話す)能力を高めるには自宅学習が欠かせないとしている。

 イーオンの三宅義和社長は「英語教育の必要性は年々高まっており、教育とテクノロジーを組み合わせた『Ed Tech』の取り組みをKDDIと進める。今回のシステムはその第1弾で、今後もさまざまなサービスを展開していく」と語った。

 KDDIは17年11月にイーオンホールディングスの買収を発表し、全株式を取得。イーオンが蓄積してきた語学学習のノウハウに、KDDIが培った通信技術を組み合わせるとしていた。

記者が体験してみたところ……

 11月22日に都内で開催された発表会で、AI評価システムのデモが設置されていたので、記者が体験してみた。読み上げる文章は、「比較的簡単な部類」(KDDI担当者)という「How was your weekend?」という一文。高校卒業以来あまり英語を話す機会がなく、海外出張でもボディーランゲージで切り抜けてきたが、その結果は――54点。

英会話 54点

 KDDI担当者は「総合評価は、外国人がどれだけすんなり聴き取れるかどうかを重視している。70点以上なら、外国人でも問題なく聴き取れるだろう」と話す。日本人の場合、「r」と「l」の発音の違いや、息継ぎのタイミング、文章中の2つの単語を連結して発音が変わる「リンキング」などが苦手という。例えば「Personality」などの言葉はなかなか聴き取ってもらえないようだ。

 あと16点。海外出張に備えて自習が必要そうだ。

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