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音は大丈夫? 駅ナカに“電話ボックス型”ワークスぺース 記者が体験

» 2018年11月26日 15時30分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 JR東日本は、電話ボックス型のブースを駅ナカに設置し、ビジネスパーソンのテレワークなどに無料で利用してもらう実証実験を11月28日に始める。Wi-Fi、電源などを備えた1人用の専用ブースを、東京駅、新宿駅、品川駅構内に設置する。19日から利用に必要な会員登録の受け付けを始めたところ、約1週間で1000人以上が登録するなど好調で、「予想以上の反響」(同社)という。

photo 電話ボックス型のブース「STATION BOOTH」=品川駅で撮影
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 一方、改札口を通過した駅構内は「ピンポンパンポーン」とアナウンスが流れ、列車の音も絶えない。そうした環境下で、専用ブースの遮音性はどうなのか。一足先に記者がブースに入り、使い勝手を体験してきた。

カフェよりは集中できそう?

 同社が設置する電話ボックス型のオフィス「STATION BOOTH」(個人用/法人用)は約1メートル四方、高さが約2.2メートル。デスクと椅子、照明、無料Wi-Fi、電源、USBポート、暖房、ディスプレイ、アロマなどを備える。ブイキューブと共同開発した。3駅に各4つずつ(法人用2つ、個人用2つ)を用意する。

photo ブース内の様子

 利用するには、事前にWebサイトで会員登録が必要。その上で、利用したい場所、時間(実証実験では30分単位)を予約しておく。入室する際は、手持ちのスマートフォンでWebサイトにアクセスし、ブースのドア付近に表示されるQRコードをカメラで読み取るとドアが開く。

photophoto Webサイト上で予約する。スマホのカメラでQRコードを読み取るとドアが開く

 実際に記者が入り、ドアを閉めてみると、思ったより外部の音は気にならなかった。カフェなどでテレワークをするのと比べると、周囲の会話、目線が気にならない分、集中して仕事ができそうだ。「重要なアナウンスは、聞き漏らさない程度の遮音性」(同社)という。暖房もあり、外套を脱いでもいいほど温かく感じた。

 同様の取り組みは、東京メトロが6月から先行して実証実験を行い、累計登録者数は1000人を超えている(9月末時点)。これに対し、JR東日本の表輝幸さん(事業創造本部 副本部長)は「(東京メトロのものとは違って)改札の中なので、乗り換えの待ち時間などでも使える」と説明する。

 表さんは「オンライン英会話など、自宅でも恥ずかしいと感じるやりとりでも個室なら取り組めるのはではないか」と、ビジネスパーソン以外の需要も見込む。

photophoto ビジネスパーソン以外の需要も見込む。メイクにも使えるという

 3カ月間の実験で、1日12時間の稼働時間のうち3割が埋まることを目指す。「会員登録数は1000人超と、かなりいいところまで来ている。会員の数が増えると稼働率は上がるとみている」(表さん)。STATION BOOTHは今後、従量課金制を予定。実験終了後のアンケートなどを踏まえ、料金や設置数、場所などを検討する。

photo JR東日本の表輝幸さん(事業創造本部 副本部長)

 このSTATION BOOTH以外にも、1つの部屋で複数人が働くコワーキング型「STATION DESK」、個室型「STATION OFFICE」などを順次展開し、2019年度上半期をめどにシェアオフィス事業へ本格的に参入する。DESKは従量課金制、OFFICEは月額賃料制を予定している。

 表さんは「駅構内だけでなく、改札の外、周辺オフィスビルなどにも広げる。2020年までに(STATION BOOTHなど3つの形態で)30カ所ほど展開したい」と意気込んでいる。

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