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» 2018年12月26日 11時19分 公開

CloseBox:AirPodsの片耳バラ売り、なぜ需要? メルカリ、Amazonで

メルカリやAmazonではフルワイヤレスイヤフォンの人気商品、AirPodsがバラ売りされている。その理由を探ってみた。

[松尾公也,ITmedia]

 発売から2年経つAirPodsの人気は相変わらず高い。税別1万6800円のAirPodsはApple Storeでも当日入荷分が夕方までには売り切れてしまうほどだ。そのAirPodsがメルカリなどで片耳だけ売られている。

photo メルカリで「AirPods 右」で検索してみた

 AirPodsが左耳用、右耳用、バッテリーケースと「バラ売り」されているのはメルカリだけではない。Amazon.co.jpでAmazonプライム対象になっているものもある。

photo Amazonで売られている片耳AirPods

 価格相場はメルカリで片耳用が4000円台から7000円台。Amazonでは右耳が7479円、左耳が7495円と少し違う。

 Appleはちゃんと片耳、バッテリーケースの交換品を提供している。にもかかわらず販売されている理由はなぜだろうか。

AirPodsはなくしやすい

 そもそも、AirPodsは紛失しやすい。耳の形に合わない人も多いので外れやすいと訴える人もいる。風に吹き飛ばされた、いつの間にかなくなっていた、落として踏んだ、トイレで流したなど様々な理由で失われていく。お経を書いていてもおそらく効果はない。

 これからの季節はマスク、マフラーなどに引っ掛けてとか、さらになくす機会は増えそうだ。雪道に落としてしまうと冬のライチョウのように見つけにくいので探すのも大変だ。

 両耳を同時になくすというのは起こりにくい。片耳なくしたら普通は気付くからだ。

 そうして片耳AirPodsが生まれていく。

 片耳を紛失したときに、もう片方をどこからか入手するか、メルカリに残りを出品するかという選択肢が生まれる。

 そしてメルカリでは片耳であってもそこそこの金額で取引されているというというのが現在の状況だ。

 Appleはサポートページで片耳やケースの価格を公表しており、その価格はメルカリなどでの販売価格とさほど変わらない。片耳で税別7800円。なぜ彼らはAppleから買わないのか。

photo AppleのAirPodsサポートページ
photo AirPods片耳の交換品は税別7800円だ

 Appleサポートページによれば、片耳紛失の場合には持ち込み修理扱いとなり、直営店のApple Storeやクイックガレージ、キタムラ、ビックカメラなどのApple正規サービスプロバイダに残っている片耳とケースを持っていく必要がある。直営店では部品代だけで済むが、それ以外は技術料が含まれるため、例えばキタムラでは片耳紛失で1万822円がかかる。直営店はバッテリー交換需要もあり、なかなか予約が取れない状況は続いている。

 あるメルカリ出店者は時間や交通費を考えれば出店品を購入した方が「早く安く便利」と説明している。早ければ1-2日で届くことを考えればたしかにそのとおりかもしれない。Amazonの出品も同様だ。

代替品があればすぐに使える

 AirPodsユーザーはバラ売りによるメリットを得られる。

 ライバル製品ではそうはいかない。例えばソニーのフルワイヤレスイヤフォンの場合、片方だけの販売は行なっていない。「左右のヘッドセットと充電ケースは修理でのみおこなえる接続設定が必要なため、片方のみの販売はしておりません」という説明がされている。片方なくしたら全取っ替えということだ。

 これに対してAirPodsは片方をなくしても代替品があれば自分でリセットして再ペアリングできる。この手軽さは、W1チップによるものだ。

 AirPods以外のフルワイヤレスイヤフォンは、スマートフォンからのBluetooth音声信号を片方(親機)で受けて、それをもう片方(子機)に飛ばしている。これに対してAirPodsではW1チップにより両耳それぞれに左右独立した信号が送られてくる。これはレイテンシーや音切れの少なさで有利なだけでなく、ペアリングの手軽さ、左右それぞれ単体でもモノラルBluetoothイヤフォンとして使えるメリットもある。

 これができるのは現在のところAirPodsだけ。最近になってようやくQualcommが右のイヤフォンと左のイヤフォンにそれぞれ信号を独立して送信する「TrueWireless Stereo Plus」を発表した。だがこれでも十分ではない。イヤフォン側が対応Bluetoothオーディオチップを搭載するだけでなく、Androidスマートフォン側にSnapdragon 845以上を搭載し、さらにオーディオ周りの対応を個別で行う必要がある。

 つまり、イヤフォン側が対応したとしても、Androidスマートフォンの準備が整わないとAirPods並みのレイテンシーやペアリングの手軽さは得られないということだ。

 AirPodsの一人勝ちを止められるものがあるとすれば、それは一説には2019年第1四半期に登場するという「AirPods 2」ということになりそうだ。

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