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倒れた人を見つける家、積水ハウスのスマートホーム構想CES 2019(1/2 ページ)

» 2019年01月12日 07時00分 公開
[山本敦ITmedia]

 積水ハウスがCESに初出展を果たした。日本の住宅専業メーカーがCESにブースを構えた例があまりなかったこともあり、同社が発表した新たなスマートホーム構想にも大いに注目が集まっている。その「プラットフォームハウス」のプロジェクトを担当する吉田裕明氏(同社新規事業企画部部長)も出展に手応えを感じたようだ。

「CES 2019」の積水ハウスブース

 2020年に創業60周年を迎える積水ハウス。吉田氏は今回CESでプラットフォームハウスを発表した背景について、次のように語った。「積水ハウスが歩んできた道のりを30年ごとのフェーズに分けると、最初の30年は『安全・安心』で高品質な住宅を目指してきました。次の30年はそれを一歩進め、家屋の断熱性能や空気の質、段差のないユニバーサルデザインなど『快適性』を追求した住まいづくりを提案してきました。これからの30年は第3のフェーズとして位置付け、『人生100年時代の幸せづくり』を、独自のスマートホーム構想であるプラットフォームハウスによってアシストしたいと考えています」

積水ハウスの吉田裕明氏に「プラットフォームハウス」構想の目的を聞いた

 様々なIoT技術を組み込んだ住まいが、住環境やそこに生活する人々のライフスタイルデータを蓄積しながら、「健康」「つながり」「学び」という3つのテーマでアシストする。これがプラットフォームハウスのビジョンだ。同社は3つのテーマに段階的に取り組む方針で、最初は「健康」に力を入れる。IoT技術により、特に「急性疾患対応」「経時変化」に「予防」という視点からサービスを形にすることを考えているという。

「早期発見」ができること

 ブース内には「急性疾患対応」の取り組みについて、サービスのイメージを紹介していた。脳卒中、心筋梗塞などの急性疾患、および浴槽での転倒・転落によるケガや溺死などの家庭内事故をセンサー等を設置した「スマートホーム」が発見し、早期治療・治癒の可能性を高める。これが積水ハウスによるプラットフォームハウス構想の一端だ。

プラットフォームハウスに生活する人の「急性疾患対応」が当初の目的

 積水ハウスでは「早期発見」ができることをプラットフォームハウスを提供する大事な意義としてアピールしている。それは住む人の命を守ることができるという理由だけではなく、その後の治療にかかる費用や負担を可能な限り低く抑え、共に暮らす家族の生活を救うことにもつながるからだ。「この早期発見の仕組みが個人の住宅のみならず、医療介護施設などにも生かすことができれば、社会コストの削減にも貢献できるのではないか」と吉田氏は語っている。

 積水ハウスではプラットフォームハウスをオープンイノベーションとして、CESへの参加と発表をきっかけにパートナーを募っていく。既に名乗りを挙げているパートナーは、NEC、NTTコムウェア、慶應義塾大学理工学部、慶應大学病院、コニカミノルタ、産業技術総合研究所、日立製作所といった豪華な顔ぶれだ。

 今回のCESの出展段階ではプラットフォームハウスの「急性疾患対応」についてコンセプトのみが語られた。具体的にどのような技術を用い、サービスに仕立てていくのかなど詳細については「機会を改めて発表する」と吉田氏。ただ、ブースで紹介されたプレゼンテーションを見ると、そこにいくつかのヒントを見つけることができた。

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