市場はミラーレス一眼にシフトしつつある昨今だけど、デジタル一眼レフを必要とする人たちがいる限り、歴史はつながっていくのである。
というわけで、久々に出たニコンの主力フルサイズ一眼レフ「D780」。
上位モデルの「D850」やフラッグシップ機の「D6」(これはまだ開発発表されただけなのだけど)といったハイエンド機は出ていたものの、フルサイズセンサーを搭載したミドルクラスの「D750」は2014年、エントリークラスの「D610」は2013年と手を出しやすいフルサイズ一眼レフは5年以上新作が出てなかったのだ。
一眼レフを求めていた皆様、お待たせしました、という感じである。
D780のポイントは、もちろんD750から6年分の進化があるのは当たり前なのだけど、ニコンの一眼レフでは初めて「像面位相差AF対応センサー」を搭載したことにある。これで、ニコンの一眼レフが苦手としていた「ライブビューでの撮影」がめちゃ快適になったのだ。
その話から始めたい。
デジタル一眼レフがライブビュー機能を持って以来、それは「一眼レフとミラーレス一眼のハイブリッドである」といって過言ではないわけで、ボタン一つでガチャンと音がして(ミラーアップの音)、光学ファインダーが暗くなり、背面モニターが点灯してそれを見ながら撮影できる。これはどのメーカーの一眼レフも同じだ。
ただニコンの場合、ライブビュー時のAFが「コントラストAF」になるため、コントラストAF対応に設計されたレンズ(AF-Pレンズ)じゃないとAFが一世代前って感じの遅さで、シャッタータイムラグも結構あった。
それが今回、像面位相差対応のイメージセンサーを採用したことで、AFがめちゃ速くなり、ライブビュー時も普通にミラーレス一眼のように使えるようになったわけである。
背面モニターをチルトさせ、タッチAFを使えばすっとピントが合うし、連写も効く。
ただもともとファインダーを覗いたとき安定するボディのデザインになっているので、ライブビュー撮影時はちょっと手ブレしやすい。それは注意だ。
キヤノンはいち早く「デュアルピクセルCMOSセンサー」の採用でライブビュー時のAFを高速化していたが、ニコンもそこに追いついたという感じである。
ライブビュー時は瞳AFが使えたり、AF測距点の分布が中央に寄っている一眼レフ時に比べて、フォーカスポイントが多い(水平垂直約90%をカバーする273点AF)というメリットもあるので、実用性が上がったのは良い。普段の撮影は使い慣れたファインダーを覗いて撮り、三脚を使うときや瞳AFを使いたい、フォーカスをシビアに追い込みたいときやハイアングル・ローアングルで撮りたいときはライブビューと使い分けられる。
さらに、サイレント撮影をオンにするとAF/AE追従で秒12コマの高速連写が可能になる。サイレント撮影時は電子シャッターになるので撮影時の機構ブレをゼロにできるのもいいが、ローリングシャッター歪みが発生するので万能ではない。
まあミラーレス一眼的な機能だ。
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