例えばAppleの例で言えば、A4〜A5Xまでは、Cortex-A8/A9を使っており、これは通常のプロセッサIPのライセンス(Cortex License)を受けて製造した訳だが、Apple A6以降は自社設計のCPUコアになっている。これはArchitecture Licenseを取得して、自身で論理設計から行ったものである。
長らくArmはこの2本立て(Cortex LicenseとArchitecture License)のライセンス形態をとっていた。厳密に言えばCortex Licenseの方は Fast Track、Single Use、Multi Use、Team、Perpetual、Subscription、Lead、Technologyと契約形態や自由度に応じていくつかの種類があるが、基本は同じである。
ただここに来て、Architecture Licenseをもらっても開発コスト的に苦しいが、Cortex Licenseのままではカスタマイズできる余地がなくて不便だ、というわがままな顧客が出てきた。これに応じて今年発表されたのがCortex-X Custom Programという新しいライセンスである。Cortex Licenseの場合、基本的にArmが提供するProcessor IPに手を入れる事が出来ない(Cortex Technology Licenseのみ、ちょっとだけカスタマイズができる程度)。
これに対してCortex-X Custom Programでは、既存のCortex-Aプロセッサをベースに、ドラスティックなカスタマイズが可能になった。その最初のものが、今年発表のCortex-X1(図1)である。Cortex-X1の話はこちらでも触れているが、Cortex-A78をベースにしながら5命令デコード/8命令実行に強化したり、NEONユニットを倍増したりできるようになった。今後は、こうしたセミカスタム製品が徐々に増えていく可能性がある、というのが現状のArmベースのプロセッサIP動向である。
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