次はそのPCI Express。もともと2001年の春ごろ、「現在次世代向け規格の作業を行っている」という話がIntelから出ていた(写真3)。
同年秋のIDFでは“3GIO”(3rd Generation I/O)という名称で概略の説明があり、またPCI-SIGからも2005年辺りから製品が投入されるという見通しが語られた(写真5)。
3GIOそのものの骨子はIntelが開発した(開発を率いていたのは、ここでも出てきたアジャイ・バット氏である)が、早い時期からPCI-SIGと共同での作業となっており、仕様はやはりPCI-SIGに寄贈され、Revision 0.7辺りからほぼPCI-SIG側で仕様策定のハンドリングが行われている。
実際にPCI ExpressのBase Specification 1.0は2002月7月にリリース、さまざまなベンダーがこれに取り組んでいく。
とはいえ、当初はPCI Expressの実装がかなり大変だったのは事実である。例えば当時VIA Technologies傘下だったS3はDelta Chrome GPUの開発をしていたが、PCI Expressを統合するとダイサイズが倍になるとかいう話で、次世代(Chrome S)までPCI Expressの統合を先送りにしている。
NVIDIAはGeForce 6000シリーズで初のPCI Express対応を果たすが、そのGeForce 6000シリーズはHSI(High-Speed Interconnect)という名称のAGP/PCI Express Bridgeチップ経由での対応になっていた。
ATIはこれに対して「当社はNativeでPCI Express対応だ」とアピールしたが、そのATIも同時期に投入されたX800こそNative PCI Express対応だったものの、下位にあたるX600シリーズはやはりAGP/PCI Express Bridgeを利用していることが後でバレるといった具合に、各社苦労していた。
技術的に見れば、PCI Expressでは、
といった点が特徴になる。
当初は2.5GHzという高速信号を通すために苦労したようだが、幸いにもRambusのDirect RDRAMである程度技術の底上げがなされていたこともあり、Direct RDRAMのときほどには問題にならなかった。
チップセットとしてもIntel 915とかATIのRadeon Xpress 200、NVIDIAのnForce 4、VIAのPT880 Ultra/PM880/K8T890など2004年以降に登場したものは各社グラフィックス用のI/FがAGPからPCI Express x16に切り替わり、ただしグラフィックス以外はまだPCIという状況が続いた。
それでも2010年手前には、例えばストレージカード(RAIDコントローラー)とかEthernet、Soundカード、USB拡張カードなどが相次いでPCI Expressに移行を果たし、その一方でPCIのスロットはどんどんマザーボードから減っていくようになった。PCI Express自体もどんどん進化しており、2007年には速度を5GT/secに引き上げた2.0、2010年には8GT/secに引き上げた3.0、2017年には16GT/secの4.0、2019年に32GT/secの5.0と来て、2022年にはついに64GT/secの6.0がリリースされている。
実効転送速度ではx1レーンで1.0が250MB/sec、以下2.0が500MB/sec、3.0が1GB/sec、4.0が2GB/sec、5.0で4GB/sec、6.0では8GB/secまで引き上げられている。
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