Brand New PC Style:“慣れ”ることで、その道具なりの個性を楽しみたい ー漫画家・里中満智子氏に聞くー

前のページ

チバ  タブレットPCとリアルな紙とでは当然、違いがあると思いますが、どのような点で違いを感じますか?

里中  やっぱり滑りやすいですね、当然ですが。普通はこんなツルッツルの紙では描かないですね。まれにあえて滑る紙を使うこともありますけど、そういう紙にも増して滑りますね。これがワコムのタブレットだと滑らなくて *3 、心地よく使えるんです。中にはそれでもいやだという人もいて、タブレットの上に紙を敷いて描いている人もいますが、それでもちゃんと認識するんですよ。

 それにしてもこのソフト(Alias SketchBook Pro)の“入り”と“抜き” *4 はいいですね。特に“抜き”がいいですね。描いていて気持ちがいいです。パソコンで絵が描けるようになってから、常に問題になるのが、この“入り”と“抜き”なのですが。セルシスのソフト(ComicStudio)もこのソフト同様にいいんですよね。

 ただ、このペンのタッチについては残念ですね。ペンの形状をソフト側で平筆を選択しても、ペンの傾きにあわせてタッチを変えることはできないのですね。ペン自体もこんなに細くてては描きにくいですよね。

チバ  このペンはあくまで緊急用のようなもので、別に太いペンがあります。ワコムのペンがあればそれも対応しますよ。

里中  そうなんですか。以前、ワコムの方が(スタイラス)ペンをボールペンのようにコンビニで売りたいとか言っていたんですけど、ペンだけあってどうするのでしょうね。

チバ  それは、社会のそこかしこにタブレットPCがあるような環境になった時に、ペンを忘れても購入できる、ということですね。

里中  なるほど。昔、サインペンの原型でマジックインキ *5 というものを内田洋行が出しましたが、ペン先が丸くなくて四角で、消えないので描くところが制限されていたり、いろんな素材やいろんな色がありました。最近だと、水性ボールペン *6 は感動もので、ボールペンで絵は描けるものではなかったんですが、水性ボールペンでいろんなものが描けるようになったということがあります。それと同じような驚きがありますね。道具って本当におもしろいですね。それにしてもこれ(スタイラス・ペン)で反応するのは信じられないですね。長生きはするもんだなぁ(笑)。

チバ  それこそ、その辺にタブレットPCがあるようになったら楽しいですね。

里中  ちょっと前にこんなことができたらいいな、と思っていたことがどんどん実現してきていますよね。でも、今年、本当はアトムが生まれているはずなんですけどね。私が期待しているのは、絵を描くベースのものが折り曲げたりできる紙みたいになっていて、いろんなところに描けるようになるればいいなと思ってます。早く紙になってほしいですね。

チバ  電子ペーパーですね。

里中  電子ペーパーができれば壁一面の画面で映画を見たり、壁紙の模様をその日の気分で替えたりしたいんです。今日はこんな色、なんてね。そして、究極は切ったりはったりできる電子ペーパーですね。


*3  ワコムのタブレットだと滑らなくて

 ワコムのタブレットのすべてが滑らない設計になっている訳ではない。また、液晶を保護するアクリルカバーをどう作るかによって、滑り心地が変化する。このあたりはメーカーの腕の見せ所だろう。

*4  入りと抜き

 フリーハンドで線を描く際の線の始端を“入り”、終端を“抜き”と言う。

*5  マジックインキ

 寺西化学工業が1953年に商品化したもので、「マジックインキ」以外の同種の製品にサインペンやネームペンがある。開発段階より内田洋行が関わっており、現在、内田洋行の登録商標となっている。

*6  水性ボールペン

 顔料インキを使った軽いタッチで書けるボールペン。水性ゲルボールインキの特許を持つサクラクレパスの「ボールサイン」は線幅や色数が豊富で多くのクリエイターが愛用している。

[チバヒデトシ, ITmedia ]

前のページ | 2/3 | 次のページ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

PICK UP

news010.jpg ベールを脱いだ“Origami”、MicrosoftとIntelがOrigamiことUMPCを披露
CeBIT 2006で、ついに“Origami”がベールを脱いだ。3月9日、MicrosoftとIntelはそれぞれプレス発表会を開催、OrigamiことUltra-Mobile PC(UMPC)デバイス戦略を明らかにした。

news015.jpg “Origami”命名者らが明かすUltra-Mobile PC構想
CeBIT 2006の目玉となった“Origami”ことUltra-Mobile PC(UMPC)。会場ではIntel、Samsung、ASUSなどのブースでUMPCを見ることができた。3月10日に催されたMicrosoft、Intel、Samsungの共同記者発表会の模様とあわせて、UMPCを検証してみよう。

news001.jpg 1キロを切る超小型・軽量のコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK P8210」
富士通の企業向けノートPC「FMV LIFEBOOK」シリーズに、コンバーチブルスタイルのタブレットPC 2モデルが追加された。その中でも「FMV LIFEBOOK P8210」は、本体重量が約990グラムと非常に小型・軽量でありながらも、コンバーチブルスタイルを実現した意欲的なタブレットPCである。

news002.jpg これが“ThinkPad”クオリティのタブレットPCだ──レノボ・ジャパン「ThinkPad X41 Tablet」
性能面はもとより、耐久性や操作性なども含めたノートPCとしての完成度の高さで幅広いユーザーから支持されている「ThinkPad」シリーズ。そのThinkPadからコンバーチブルタイプのタブレットPCが登場した。それが「ThinkPad X41 Tablet」である。

news002.jpg デジタルクリエイター教育におけるTabletPCの可能性──デジタルハリウッド杉山学長インタビュー
デジハリEXは、TabletPCを使ったデッサン入門講座を6月に開講する。なぜTabletPCを教材に採用したのか? クリエイティブツールとしての可能性・将来性は? 日本のデジタルクリエイター教育の先駆者であるデジタルハリウッド大学・大学院の杉山知之学長に話を伺った。

1.jpg サラリーマンのためのタブレットPC使いこなしガイド 第1回:OneNoteの登場でタブレットPCがいっそう身近に(1)
ノートPCとPDAの中間――普段のWindowsアプリケーションが使え、PDAなみの軽快な操作性と携帯性を持つタブレットPC。メールやWebの閲覧はもちろん、企画書を作成して他社に営業に行き会議室でプレゼンを行う……そんな今回の企画にぴったりの人はもちろん、それ以外の人にもタブレットPCとOffice OneNote 2003などのアプリケーションを組み合わせた、きっと役に立つちょっとしたノウハウを今後数回に分けて展開していく。

news009.jpg マイクロソフト、次世代TabletPCのコンセプトモデルを初披露
マイクロソフトは都内で行われた開発者向けコンファレンス「WinHEC 2005 Highlights」で、次世代TabletPCのコンセプトモデルを本邦初公開した。スライド式の液晶タブレットを搭載し、ノートPCモードとピュアタブレットモードを瞬時に行き来できるのが特徴だ。

news020.jpg TabletPCの現在、そして未来を語る──モバイルプラットフォーム事業部GMインタビュー
TabletPCはノートPC市場のメインストリームに対して、フェーズに合わせて普及のターゲットを広げてきた。さらに将来的には、タブレットの機能はすべてのノートPCにも搭載されるようになるという。米マイクロソフト モバイルプラットフォーム事業部 ジェネラルマネージャーにTabletPCの現在と未来を聞いた。

news003.jpg ペンオペレーションでモバイルAVノートの魅力が変わる──富士通「FMV-BIBLO LOOX P70R」
富士通のモバイルAVノート「FMV-BIBLO LOOX」シリーズに、新モデルとなる「FMV-BIBLO LOOX P70R」が登場した。1キロを切る軽量ボディを実現しながらも、一般ユーザー向けとしては同社初のコンバーチブル型タブレットPCであるという意欲的な製品だ。

news005.jpg タブレットPCのプレゼンは、なぜ琴線を揺さぶることができるのか?
今や、ビジネスパーソンだけでなく、学生にもプレゼン能力が問われる時代。とはいえ、スライドと話術のみで受け手に強い印象を残すプレゼンを行うのは非常に難しい。しかし、タブレットPCを利用すれば、誰でも簡単に“勝てるプレゼン”が可能になるという。それはなぜか──。

news001.jpg コンバーチブル型を採用した企業ユースのメインストリームモデル──日本HP 「HP Compaq tc4200 Tablet PC」
日本HPから、同社初となるコンバーチブル型のタブレットPC「HP Compaq tc4200 Tablet PC」が登場する。利用シーンに合わせてスタイルを変更できるトランスフォーム型で脚光を浴びた同社製タブレットPCだが、新モデルはイメージを一新し、企業ユースの本流を狙う意欲的な製品に仕上がっている。

news001.jpg オフィスを狙った本格仕様の2スピンドルコンバーチブル型タブレットPC──富士通「FMV LIFEBOOK T8210」
「FMV LIFEBOOK T8210」は、携帯性を重視したB5サイズの2スピンドルコンバーチブル型タブレットPCだ。タブレットモード、ノートPCモードのどちらも快適に使用できるハイスペックを備えており、オフィスユースに適した魅力的なマシンに仕上がっている。

news003.jpg TabletPCでペーパーレス化や広告イメージの具体化・共有化を実現
アカウントマネージメントパーソンにとって、クライアントに関するあらゆる資料・情報は“ビジネスのなる木”だ。だが、それらをすべてため込もうとすると、今度はその量に飲み込まれて身動きができなくなってしまう……。マッキャンエリクソンに勤めるあるアカウントマネージメントパーソンは、TabletPCを使うことでその矛盾を克服した。

news002.jpg タブレットPC・ガールの旅日記Vol.8「東京ベイエリアに行きました」
KAORI(臼田 華織)、歌って踊れるキャンペーンガール&モデルユニット「IT GIRLS」のメンバー。所属はアトランティックス マネージメントです。柔らかな初春の日差しに誘われ、葛西臨海公園からパレットタウン、お台場海浜公園まで、東京ベイエリアをぐるっと回ってきました。