Brand New PC Style：“慣れ”ることで、その道具なりの個性を楽しみたい ー漫画家・里中満智子氏に聞くー
タブレットPCはクリエイターのスケッチブック！
チバ タブレットPCについてどのようなご要望がありますか？
里中 まず、バックライトがなくなって紙のように反射光で見ることができるようになるといいですね。自然では、シルエット以外は透過光で見ることはあり得ませんから。これは大袈裟ですが、神をも恐れぬ行為、と言えるかも。とは言っても人類は神をも恐れぬ行為ばかりですけどね（笑）。
チバ それはパソコンすべてが抱える大きな問題ですよね。では、大きさについてはいかがでしょう？
里中 持ち運びを考えたらこのぐらいがいいと思いますよ（今回触っていただいたマシンは、 ソーテック のAFiNA Tablet AT380B）。究極は表面はほとんどが画面で、横にちょっとした操作ボタンがついているぐらいがいいですね。後はメモをとるにも書き続けていれば自然にめくってくれるといいですね。
チバ クリエイターがタブレットPCを使うとしたらどんな時でしょう。
里中 漫画家はスケッチブックを持って旅行に行くイメージがあるようですが、本当は持っていかないんです。取材旅行でも資料は風景とかはほとんど写真を撮るんですよ。海外取材の時に歴史的な建物を撮影するために（フィルムを）密輸するんじゃないか、ってぐらい持っていったこともあります。あまりに資料が多すぎるので、ビデオを使ったこともありましたが、ビデオを見てチェックするのはとても大変で、一時期ビデオプリンタを使ったこともありました。今はデジタルカメラを使っています。
それでも、中にはフラッシュ撮影禁止のところもあって、スケッチするしかないこともありました。バチカンに行った時には、タイルの模様とか、壁画とか、窓枠から板戸からなにから、全部スケッチで押さえなければならず、スタッフと手分けしてスケッチしたのですが、まわりから変な目で見られて大変でした。
話は長くなりましたが、要はこうした時にタブレットPCがあればいいなぁ、ということです。デジタルなら絵の具も減らないし、紙もなくならない。電源も宿に帰れば充電できるし。スケッチの場合は、スケッチブックだけでは描けなくて、画材が必要だけど、タブレットPCならこれひとつで十分で、この中に画材屋さんが全部入っているようなものだと思います。なんて便利なんだろうか、私、画材屋ひとつ持っている、って思います。服も汚れないしね（笑）
チバ まさにクリエイターにとってはデジカメに続いて、最適なお供と言えますね。他にはどのような使い方があると思われますか？
里中 パソコンは子供はもういいですね。学校で習いますから。それよりも重要なのはお年寄りですね。漫画家の中にも筆圧が弱くなって仕事を離れてしまう人もいまして、ComicStudioの開発の際にセルシスさんに、ペンの筆圧感知の設定を変えて筆圧の弱い人にも使ってもらえるようにしては、という提案をしたことがあります。ペンを使ってパソコンを使うことでお年寄りの社会参加のお手伝いにもなりますよね。
後はもっと軽くなればいいですね。それにしても、こう熱くなる（ACアダプタをつなげて充電しつつ使用した）のは難点ですね。これらの点が解消するともっといいですね。
チバ 重さの問題、そして充電をしながら使用する場合の熱の問題は、ノート型マシンすべてに言える大きな課題ですね。今日はありがとうございました。今後もデジタル・クリエイティブへのご提言を楽しみにしています。
[チバヒデトシ, ITmedia ]
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