国内最大規模の超小型カーシェア、横浜市が日産と100台規模で電気自動車

横浜市と日産自動車は、超小型電気自動車を100台使ったカーシェアリングサービスを横浜市内で2013年10月から開始する。借りた場所と違う場所に返却できるシステムを導入した。

» 2013年09月26日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 横浜市と日産自動車は、日立製作所や三井不動産リアルティの協力を得て、超小型電気自動車(EV)を100台利用したカーシェアリング「チョイモビ ヨコハマ」を2013年10月11日から横浜市内で始める。2014年9月30日までの約1年間に期間を限定したサービスだ。

 カーシェアリングに用いる車両は2人乗りのEV「日産ニューモビリティコンセプト」(図1)。30台でサービスを開始後、100台まで増やす計画だ。100台という規模は、超小型EVを使ったカーシェアリングサービスとして日本初の試みだという。

 日産ニューモビリティコンセプトはリチウムイオン蓄電池を搭載したEV。最高時速は80km。車長は2340mm、車幅は1230mm、車高は1450mm。なお、今回のサービスでは高速道路や自動車専用道路は利用できない。

図1 日産ニューモビリティコンセプト。出典:日産自動車

 サービスを展開する範囲は、横浜市の都心部である。行政機関が多く集まり、商業施設も多い中区と、新開発地域であるみなとみらいを含む西区が中心となる。横浜市都心部に約45カ所のカーステーション(駐車場)を用意し、70カ所まで拡張する予定だ。

 カーステーションとして三井不動産リアルティの「三井のリパーク」18事業所(中区、西区に25台)など複数の企業の協力を得た。

ワンウェイ利用が可能

 カーシェアリングサービスとしての特徴はワンウェイ型の利用が可能なこと、貸し出し時間の柔軟性が高いことだ。

 ワンウェイ型の利用とは、EVを借りたカーステーションに戻る必要がなく、目的地に近いカーステーションにEVを返却できる利用法をいう。借りた場所に返すツーウェイ型の利用法はサービス事業者のメリットが大きい。配車が容易であり、予約の仕組みが作りやすいからだ。その代わり、利用者にとっては利用形態が限定されてしまうというデメリットがある。

 ワンウェイ型のメリットデメリットはその逆だ。利用者は1方向の移動の際にも利用しやすくなるが、事業者側の配車や予約システムは複雑になる。そこで、日立製作所が開発した貸し出し車両の管理や会員登録、利用登録を担うクラウド上で一元管理が可能なプラットフォームを運用する(図2)。

図2 日立製作所が開発した管理システムの動作。出典:日立製作所

 車両の利用状況と駐車場の空き情報の把握を組み合わせた入出庫管理が基本的な機能だ。この機能がなければ、利用者が使いたいときにすぐに使えるシステムは構築できない。車両には遠隔監視装置を搭載し、バッテリー残量とブレーキ警告を取得する。充電管理やメンテナンスに役立てる。

 利用者は専用サイトで登録後、日産自動車本社(横浜市西区)か、コンベンションセンターであるパシフィコ横浜(横浜市西区)で約60分間の安全運転講習会を受講し、会員カードを受け取る。その後は1分単位で、横浜市内の利用が可能になる。貸出料金は20円/分だ。入会金は不要。

 今回の取り組みは、横浜市と日産自動車が2009年〜2013年の5年間で進めてきた「ヨコハマモビリティ”プロジェクトZERO”(YMPZ)」の一環だ。YMPZは自動車交通施策に関するプロジェクト。低炭素都市を実現するためには次世代交通の姿を把握する必要があり、そのために電気自動車やエコ運転の普及といった施策の有効性を確認する意味がある。カーシェアリングについてもさまざまな取り組みがある。例えば、企業の業務車両を対象にして、EVとガソリン車を車両管理システムで一元管理して最適配車を実現する実証実験を2011年12月から実施した経緯がある。

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