オフィスで使う業務用電力、東日本が高く、西日本は安い2014年度の電気料金NEW(3)(1/2 ページ)

一般のオフィスビルで利用する「業務用電力」は自由化されているものの、新電力のシェアは全国で4%程度に過ぎず、大半の企業は地域の電力会社から購入している。業務用でも単価の差は大きく、東京では北陸の1.6倍にもなる。総じて西日本が安く、中部や九州には独自のメニューがある。

» 2014年11月17日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

第2回:「店舗や工場が利用する低圧電力、自由化を前に東京の単価は北陸の1.5倍」

 電気料金は契約電力が50kW未満の低圧の場合だけ政府の規制を受けていて、50kW以上の高圧は2005年から自由化されている。とはいえ電力会社はコストをもとに料金を決める「総括原価方式」を採用しているため、高圧も低圧と同じタイミングで単価を値上げする必要がある。地域間の料金格差は低圧と同様に拡大する一方だ。

 大半のオフィスビルが利用している「業務用電力」の単価を比較すると、基本料金が最も高いのは九州だが、その代わりに電力量料金が安く、両方を合わせると水準は低くなる(図1)。基本料金と電力量料金ともに高いのは北海道である。北海道だけは電力量料金の単価が年間を通じて一律で、季節に関係なく東京を除いた全地域よりも高い。

図1 地域別の「業務用電力」(契約電力500kW以上)の料金(2014年11月時点)

 東京の単価の高さも目立つ。隣接する中部と比べると、基本料金は1kWあたり約70円、電力量料金は2円以上の差がある。全国で最も安い北陸とのあいだには基本料金で約130円、電力量料金は約7円の開きがある。電力量料金の単価は北陸の1.6倍になっている。家庭向けの電力でも同様の傾向が見られるが、東日本の3地域が高く、それ以外の地域が安い。

 ただし業務用の電力は、どの地域でも家庭向けよりは安く販売されている。東京電力の単価を比較すると、家庭向けの従量電灯の電力量料金は1kWhあたり19.43円が最低価格である。これに対して業務用は夏季の7月〜9月で19.33円、それ以外の10月〜6月は18.19円に下がる。

 この価格差を利用したマンション向けの「高圧一括受電サービス」を導入する事例が全国各地に広がってきた。各家庭が低圧で契約している電力をマンション全体でまとめて、単価の安い高圧の電力を分割して利用する方法だ(図2)。従来は新電力が提供してきたが、最近になって電力会社も同様のサービスを開始した。小売の全面自由化を前に、売上が減っても顧客を囲い込む狙いがある。

図2 マンション向けの「高圧一括受電サービス」。出典:東京電力

 高圧一括受電サービスはマンションの共用部の電気料金が安くなるプランのほかに、各住戸の電気料金が安くなるプランを選ぶこともできる。共用部に適用する場合には20%以上、各住戸の場合には5%ほど安くなるのが標準的なケースだ。

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