再生可能エネルギーの接続保留問題が決着、太陽光は2月に回答を再開電力供給サービス

九州電力など4つの電力会社が約3カ月にわたる中断を経て、再生可能エネルギーによる発電設備の接続手続きを再開する。この問題を最初に呼び起こした九州電力はいち早く対応策を発表した。太陽光を除く4種類は年内から手続きを開始する一方、非住宅用の太陽光は2月中に再開する予定だ。

» 2014年12月24日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 政府が電力会社からの申告をもとに各地域の接続可能量を確定させたことで、これまで事業者からの申し込みを保留していた北海道・東北・四国・九州の4電力会社が発電設備の接続に向けた手続きを再開する。4社のうち九州電力が率先して12月22日に具体的な対応策を公表した。

 太陽光を除く風力・地熱・水力・バイオマスの4種類の発電設備に対しては「速やかに接続のための技術検討および回答を再開」することを決めて、年内に作業を開始する(図1)。ただし太陽光だけは接続可能量まで残り2万kWしかないため、政府が1月中旬に施行する省令の改正を待って2月から回答を再開する方針だ。

図1 九州電力の回答再開スケジュール。出典:九州電力

 九州本土の太陽光発電設備の接続可能量は817万kWに設定された。これに対して11月末時点で接続済みおよび接続承諾済みの発電設備を加えると815万kWに達している(図2)。残りの2万kW分は接続契約の申し込みが早かった順に受け入れる一方、それ以外の1069万kW分については新しい出力制御ルールを条件に受け付ける。

図2 九州本土における太陽光発電設備の接続可能量と申込状況(2014年11月末時点)。出典:九州電力

 この新ルールは太陽光・風力・バイオマスによる発電設備を対象にしたもので、固定価格買取制度を実施するために制定した「再生可能エネルギー特別措置法」の施行規則を改正して適用する。従来は太陽光と風力のうち発電能力が500kW以上に限定して年間30日までの出力制御を電力会社に認めてきたが、今後は500kW未満にも拡大するのと合わせて時間単位の出力制御を認める(図3)。

図3 太陽光・風力・バイオマスに対する出力制御の新ルール。出典:九州電力

 電力会社が発電設備の出力を制御した場合でも、発電事業者に対する補償はない。その結果、事業者の売電収入は減ることになる。新ルールの対象には住宅用の太陽光まで入る予定だ。その一方でバイオマスのうち「地域型」の資源を利用した発電設備に対しては出力制御の優先順位を下げて影響を緩和する。地域で発生する未利用の木材や廃棄物などの資源を燃料に利用する場合が地域型になる。

 太陽光と同様に接続可能量(100万kW)が確定した風力については、11月末までの申し込み分を加えても90万kWにとどまることから、当面は現行のルールで申し込みを受け付ける(図4)。ただし政府が施行規則を改正する1月中旬以降に接続を申し込んだ場合には、新ルールを適用することになる。新ルールでは年間に最大720時間まで出力制御を受ける可能性があり、発電事業者にとって厳しい条件が付く。

図4 九州本土の接続可能量と出力制御(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 九州電力に続いて発電設備の接続申込を保留してきた北海道・東北・四国の3電力会社も同様の方針を12月18日に発表した。3社は九州電力のように太陽光に対する回答の再開時期を明らかにしていないが、同じ2月中に再開する可能性が大きい。

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