接続保留は1月中旬に解除へ、太陽光・風力・バイオマスに新ルール法制度・規制(1/2 ページ)

九州電力が9月下旬に口火を切って全国に広がった再生可能エネルギーの接続保留だが、ようやく来年1月中旬に解除する見通しになった。太陽光・風力・バイオマスによる発電設備に対して出力制御の新ルールを設けることで、電力の需要が少ない時期に供給力を適切に抑制する。

» 2014年12月18日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 政府が12月18日の午前に開催した「新エネルギー小委員会」で、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた今後の対応策が固まった。最大の懸案になっていた太陽光発電による供給力の増加に対しては、住宅用を含めてすべての発電設備を出力制御の対象に加えるなどの規制を設ける。

 新ルールは年明けの1月中旬に施行する予定で、その後に電力会社が接続保留を解除する見通しだ。新ルールの適用対象は接続保留を解除した後に申し込んだ発電設備で、接続保留よりも前に申し込みを済ませた発電設備や認定・運転済みの発電設備は対象に入らない。

 まず新ルールでは再生可能エネルギーの種類別に、電力会社の送配電ネットワークに接続する条件や優先順位などを決める(図1)。天候によって出力が変動する太陽光と風力の接続条件を最も厳しくする方針で、従来と比べて大きな変更点が3つある。

図1 再生可能エネルギーによる発電設備の接続方針。出典:資源エネルギー庁

 現行のルールでは、電力会社が必要に応じて出力を制御できる対象は500kW以上の大規模な発電設備に限られている。さらに個々の発電設備に対して出力制御を実施できる期間は年間に30日までである。これに対して新ルールでは、出力制御の対象を500kW未満にも拡大して、住宅用の太陽光発電も対象に含める予定だ。

 こうした第1のルール変更によって、中国・四国・沖縄の3地域では再生可能エネルギーによる発電設備の接続可能量が増加する(図2)。ほかの4地域では増加しない想定になっているが、いずれも電力会社が試算したものであり、再検討の余地は大きい。

図2 500kW未満の発電設備を出力制御の対象に加えた場合の接続可能量の増加見込み。出典:資源エネルギー庁

 さらに第2のルール変更では、出力制御の実施期間を日単位ではなくて時間単位で算定できるようにして、従来よりも短いサイクルで出力を制御する。太陽光は年間に360時間まで、風力は720時間まで出力の制御が可能になる。その結果、北陸・中国・四国の3地域で接続可能量が増加する見込みだ(図3)。第1のルール変更の場合と同様に、ほかの4地域でも接続可能量を増やせる可能性は残っている。

図3 時間単位の出力制御を実施した場合の接続可能量の増加見込み。出典:資源エネルギー庁
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