資源エネルギー庁が主催する「制度検討作業部会」の第109回会合で、非化石証書の取引状況の報告や、高度化法における第3フェーズ以降の中間目標値の設定方針などについて検討が行われた。
エネルギー供給構造高度化法(高度化法)では、前年度の電気の供給量が5億kWh以上の小売電気事業者等に対して、非化石電源比率目標達成のための計画を作成し、経済産業大臣に提出することを義務づけている。
高度化法では2020年度に中間目標値を導入し、2023年度開始の第2フェーズ以降、対象事業者は毎年度の目標達成のため、高度化法義務達成市場や相対取引・事業者内部取引により、非FIT非化石証書を調達する必要がある。
資源エネルギー庁では、高度化法における2040年度の非化石電源比率目標を60%以上とする案をすでに示しているが、非FIT証書の需給バランス等を踏まえ、毎年度の中間目標値をどのように設定すべきか、「制度検討作業部会」において検討が行われた。
現在、高度化法の順守に使用可能な「非FIT非化石証書」は高度化法義務達成市場において、またボランタリーな使用が想定される「FIT非化石証書」は再エネ価値取引市場において取引が行われている。
ただし、非FIT証書は相対取引(または内部取引)が大半であるため、高度化法市場における非FIT証書の需給バランスは変動しやすく、これまでほぼ全てのオークション(シングルプライス方式)で上限価格(1.3円/kWh)または下限価格(0.6円/kWh)に張り付く結果となっている。
また、FIT証書はこれまで供給(売入札量)が需要(買入札量)を大きく上回ってきたため、再エネ価値取引市場(マルチプライス方式)の約定価格はほぼ下限価格(2021年11月以降0.3円/kWh、2023年8月以降0.4円/kWh)に張り付いている。ただし近年、FIT証書の買入札量が増加しており、将来的には需給バランスが逼迫する可能性も否定できない。
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