非FIT証書の需給バランスがタイトになった第三の理由が、非FIT証書へのボランタリー需要の増加である。現時点、需要家による直接取引や、高度化法義務対象外の小売事業者による調達は、中間目標の設定に際して考慮されていない。
需要家による非FIT再エネ証書の直接取引量は、2022年度の取引開始以降着実に増加しており、2025年度の非FIT証書の取引量は約46億kWhと、発行量全体のうち約3%を占めている。
また同じく、非化石証書を活用した料金メニューに対する需要家のニーズの高まりから、高度化法の義務対象外の小売事業者による非FIT証書の取引も増加しており、2024年度の取引量は、非FIT証書の発行量全体のうち約1%を占めている。
これらの非FIT証書は、高度化法の義務対象者はアクセスできず、需給バランスをタイトにする要因であるため、第3フェーズの非FIT証書の需給バランスを想定するうえで、これを控除することとした。
非FIT証書の需要・供給の両面でより精緻な量を想定するには、取引のタイミングと中間目標値の設定・通知スケジュールのタイミングをより近づけることが有効である。
これまでは、小売事業者の証書調達の予見性を高めるため、可能な限り早く中間目標値を通知する観点から、N-1年度の「供給計画のとりまとめ」におけるN年度の供給想定量及び需要想定量を用いて、N-1年度の12月頃にN年度の中間目標値を設定してきた。これが誤差が生じる一因となっている。
中間目標値の設定開始からすでに約5年が経過し、事業者の習熟度も高まったと考えられるため、第3フェーズ以降、中間目標値の設定・通知スケジュールを後ろ倒しすることとした。具体的には、N-1年度の12月には「速報値」を公表し、N年度の4月頃に、N年度の「供給計画とりまとめ」による最新の供給想定量・需要想定量を用いて「確報値」を設定し、N年度6月頃に各社に中間目標値を通知する。
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