2024年度末には、非FIT証書の需給逼迫が生じたため、高度化法目標達成のための手段として、小売事業者はFIT証書の代替調達が認められた。
今年度についても非FIT証書の需給状況を確認する必要があるため、資源エネルギー庁は中間目標の対象となる小売電気事業者(63社)と、一定量以上の非FIT証書を発行する発電事業者(28社)に対してアンケートを実施した。
このアンケートの結果も踏まえ、エネ庁が2025年度の非FIT証書の需給バランスをシミュレーションしたところ、需給バランスは0.81〜1.03となり、「1」を下回る可能性があることが明らかとなった。
なお、毎年度の中間目標の水準は、非化石電源の拡大・維持という大目的の達成を前提として、証書の過不足リスクを考慮しながら決定しており、2025年度は需給バランス「1.05」に基づく目標値が設定されていた。
今年度、当初想定よりも非FIT証書の需給バランスがタイトになった理由としては、3つの要因が推測されている。
第一に、渇水による水力発電電力量の減少など再エネ発電量の低下による証書供給量の減少である。これは天候によるものであるが、これ以外の制度的な要因に対しては適切な改善策が求められる。制度検討作業部会では、2026年度から開始される第3フェーズにおける中間目標値設定の精緻化に向けた検討が行われた。
非FIT証書の需給バランスがタイトになった第二の理由が、旧一般電気事業者(旧一電)以外の事業者の内部取引の影響である。高度化法では、すべての小売事業者に対して非化石証書へのアクセス環境を確保する観点から、旧一電に対して、内部で取引可能な証書の量に上限を設けている。
他方、新電力にはこのような制約は無いため、自社内・グループ内の発電による証書をすべて自社で使用することが可能であり、市場への供出量が想定を下回る一因となっている。
直近の証書発行量および各事業者の市場・相対取引量の実績からエネ庁が試算したところ、旧一電以外の小売事業者の内部取引量は、非FIT証書の全体発行量のうち約3%に増加していると推計された。
これは外部の事業者はアクセスできない証書であるため、第3フェーズの非FIT証書の需給バランスを想定するうえで、これを控除することとした。
なお現在、旧一電による新規電源開発への配慮として、新規電源の開発分については、内部取引可能量の上限を超えても外部調達として取り扱うこととしている。旧一電以外の非化石電源比率の上昇は、主に本制度開始以降の新規電源によるものと考えられるため、旧一電以外の事業者に対しては、内部取引可能量の上限は設定しないこととした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10