矢野経済研究所は2025年12月2日、国内における水素エネルギー活用機器・システム市場に関する調査結果を発表した。
矢野経済研究所は2025年12月2日、国内における水素エネルギー活用機器・システム市場に関する調査結果を発表した。それによると、同市場は2030年度には3599億円にまで拡大する見通しとしている。
2020年10月に日本政府が「2050年のカーボンニュートラル」を宣言して以降、燃焼時にCO2を排出しないエネルギーとして水素に対する注目度が高まっており、その用途は拡大傾向にある。燃料電池を搭載した業務用・産業用機器での製品開発の動きが広がるとともに、バーナーなどの燃焼機器において水素燃焼技術の開発が進んでいる。さらに、商用車をはじめとするモビリティ分野や鉄鋼業界などにおいても、水素エネルギー活用の取り組みが進展している。
調査では、中長期的に見た場合の国内の水素エネルギー需要は、水素発電およびアンモニア発電が牽引していくと予測。発電分野の需要規模の拡大に伴い、水素発電所およびアンモニア発電所周辺地域の受入・貯蔵設備などの関連インフラ整備が段階的に進む見通し。これらの発電所を中心に多様な産業需要が集積することで、安定した消費量が確保され、水素エネルギーの調達コスト低減につながることが期待されるとした。
2030年代以降は、2020年代と比較して調達可能な水素の量が増えるとともに、水素調達コストの低減が進む可能性を考慮すると、水素エネルギー活用機器・システムの市場規模は中長期的に拡大していく見通し。そうした結果、2040年度の水素エネルギー活用機器・システムの市場規模は9869億円、2050年度には1兆6870億円になると予測している。
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水素不要でCO2を資源化 東芝がCO2電解装置のプロトタイプを開発Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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