水素不要でCO2を資源化 東芝がCO2電解装置のプロトタイプを開発

東芝エネルギーシステム年(東芝ESS)と東芝は2025年6月24日、工場などから排出される二酸化炭素(CO2)を電気分解して一酸化炭素(CO)に変換できるCO2電解装置「C2One」の試作機を開発したと発表した。

» 2025年06月30日 11時00分 公開
[スマートジャパン]

 東芝エネルギーシステム年(東芝ESS)と東芝は2025年6月24日、工場などから排出される二酸化炭素(CO2)を電気分解して一酸化炭素(CO)に変換できるCO2電解装置「C2One」の試作機を開発したと発表した。

開発したCO2電解装置「C2One」 出典:東芝ESS

 C2Oneは、CO2を合成燃料や化学品など価値ある資源に再生するP2C(Power to Chemicals)を実現するシステム。このP2Cプロセスのうち、CO2の分離回収技術、COと水素を反応させるフィッシャー・トロプシュ(FT)合成技術はすでに実用化されているが、水素を使わずにCO2をCOに還元する技術はまだ開発中であり、各国で実用化に向けた取り組みが進められている。

 東芝が開発したC2Oneは、この水素不要でCO2をCOに還元できるシステム。2019年に開発した人工光合成技術を用い、常温常圧に近い条件では水に溶けにくいCO2を気体状態のままCOへ直接電解できる三相界面制御触媒技術を活用した。一般的なCO2還元技術では、還元材料に大量の水素が必要となることに加え、CO生成に850℃程度の高温条件が必要となるため取り扱いが難しく高コストになるという課題があった。一方、東芝のCO2電解技術では100℃未満、O.2Mpaの低圧(0.2MPa)という低温・低圧条件での反応が可能であり、また還元材料として水素も不要となることから、取り扱いが容易で、より安全かつ低コストなCO生成が期待できるという。

 CO2電解装置の中核部品であるセルスタックは、東芝ESSがこれまで製造してきた純水素燃料電池システム向けのスタックと構造が似ており、既存の製造技術と製造ラインの一部を活用可能できるメリットもある。

 C2Oneプロトタイプ機は、年間約250tのCO2を処理でき、年間150tのCOを生成可能。これはSAF(持続可能な航空燃料)で換算する1BPD(1日1バレル)相当を製造できるCO量になる。2024年11月から実施した実証運転では、CO2電解装置としての安全な動作に加え、想定通りのCO生成ができるか、需要に応じた負荷が変動する運転に対応できるかなどを確認した。

 東芝グループでは今後、今回の実証結果を踏まえ、同規模のC2Oneを早期に実運用することを目指すとともに、さらなる大規模化に向けた研究開発を進める方針だ。

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