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エネルギー業界の転職　成功の秘訣を探る：エネルギー業界の転職市場動向（5）

市場の動きが活発なエネルギー業界では、企業が求める職種や人材も日々変化している。転職を成功させるためには、常に業界や企業の動向にアンテナを張って情報収集することが大切だ。転職希望者の動向や転職に成功しやすいケースについて、エネルギー専門の転職コンサルタントが解説する。

» 2015年05月08日 13時00分公開

[由里朋久、上野浩幸、ジェイエイシーリクルートメント，スマートジャパン]

第4回「風力・バイオマス分野の求人が目立つ、発電事業者の採用トレンド」

　このところエネルギー業界へ転職を希望する人が増えている（図1）。2015年以降、前年を上回るペースで伸びており、実際に転職に成功した人数も増えてきた。

図1　エネルギー業界への転職希望者数。出典：JAC

　その中でエネルギー業界の経験者の動きも目立つ。縮小・撤退が決まったメガソーラー関連の事業に携わっていた人材が転職を希望するケースや、大手電力会社から再生可能エネルギー関連のスタートアップ企業へ転職する事例なども少なくない。一方で業界の未経験者からも、再生可能エネルギー分野に挑戦したいという声が数多く聞かれる。いまやエネルギー分野が転職先として注目されていることがわかる。

　ジェイエイシーリクルートメント（JAC）が転職相談を受けた中では、転職に対して慎重な人が多いのも事実だ。しかし実際に転職したケースを見ると、その大半は希望年収を上回る転職に成功している（図2）。

図2　エネルギー業界への転職成功者のデータ。出典：JAC

　変革期を迎えているエネルギー業界の特徴として、75%が他の業界からの転職であることにも注目したい。例えばITの分野でプロジェクトを管理できる能力の高い人が、エネルギー業界でもプロジェクトマネージャーへ転職したケースがある。

　まったく違う業界・職種からキャリアチェンジする例も珍しくない。メーカーで品質管理を担当している人の分析能力がエネルギーの需給管理のスキルとして注目されるなど、意外な形で経験や能力が評価されることもある。現在の日本の状況であれば、新たな分野を切り開くパイオニア的な存在になれる可能性が高いことも魅力だ。

　ではエネルギー業界の転職に成功するために重要なことは何か。3つのポイントを紹介しよう。

成功要因1：情報収集を積極的に行っている

　採用企業の事業フェーズが進むに連れて、必要とされる人材のニーズは変化する。現在募集中のポジションの求人が今後も常にあるとは限らない。転職に成功する人の共通点として、自分自身のキャリアについて真剣に考え、キャリアアップの機会を逃さないように情報収集を積極的に行っていることが挙げられる。

成功要因2：スキルアップを怠らない

　資格の有無によって職種の選択肢が変わるため、必然的に資格保有者の転職決定率のほうが高くなる。転職希望者の中には、十分に要件を満たしているにもかかわらず、資格を持っていないだけで不利になる人もいる。実務経験があれば試験を免除される資格もあるので、ぜひ確認していただきたい。特に「電気主任技術者」「電気工事施工管理技士」「エネルギー管理士」の資格は企業からのリクエストが多い。

成功要因3：再生可能エネルギーの分野に強い意欲がある

　再生可能エネルギーの分野では、「日本のエネルギーを変えたい」という志をもって事業に取り組んでいる会社が多い。会社の成長を支えるコアメンバーを求める傾向も顕著に見られる。この業界の未経験者であっても、最先端のエネルギー事業に携わりたい、エネルギーを通して社会に貢献したい、という明確な意思をもつことが転職を成功させるためには不可欠である。

　大きな変革期を迎えたエネルギー業界を目指して、転職希望者はさらに増えていくと考えられる。現在は企業側の採用意欲も高く、転職希望者にとっては望ましい状況にある。もしキャリアについて疑問や不安を感じていたら、まずは自分自身の市場価値を適正に知るための情報収集から始めてみてはいかがだろう。

第6回「エネルギー分野に注目するIT企業とコンサルティング業界」