廃棄物からバイオガスを作り出す取り組みは下水の処理場でも進んでいる。下水を処理する過程で発生する大量の汚泥を減らすために、汚泥を発酵させてバイオガス(下水処理では「消化ガス」と呼ぶ)を生成する方法が一般的だ。従来はバイオガスを燃焼した熱で温水を作って汚泥の発酵に利用するだけだったが、最近は発電設備を導入して電力を供給する事例が増えてきた。
大阪市では市内4カ所の下水処理場にバイオガス発電設備を導入する(図3)。発電能力は4カ所を合わせると4MW(メガワット)になる。年間の発電量は2580万kWhを見込んでいて、7100世帯分の電力を作り出すことができる。2017年4月に4カ所でいっせいに運転を開始する予定だ。
大阪市は発電設備の建設から運営までを民間の事業者に委託した。大阪ガスのグループ会社などが事業者になって、発電した電力は固定価格買取制度で売電する。大阪市は発電設備の土地使用料と消化ガスの利用料を得るほかに、発電時の排熱で作った温水の供給を受けるスキームだ。これまでは下水処理場の中だけで利用していたバイオガスが地域を循環する再生可能エネルギーとして広がっていく(図4)。
廃棄物を主体に大阪府のバイオマス発電は急速に拡大中だ。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模は全国で第3位に入る(図5)。その一方で太陽光発電も増えてきたが、建設場所は通常の土地に限らない。空き地が少ない問題を克服するために、池や海の上にも太陽光パネルを設置して発電設備を増やす。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.