東京ガスの「ずっとも電気」、3種類のプランで東京電力に挑む電気料金の新プラン検証シリーズ(1)(1/2 ページ)

電力の小売全面自由化に向けて最も意欲的な会社の1つが東京ガスだ。小売電気事業者の先頭を切って料金プランを公表した。毎月の電力使用量が多い家庭や商店を対象に、東京電力よりも安い単価を設定した点が特徴だ。都市ガスのほかにインターネットサービスを加えた「トリプル割」も実施する。

» 2015年12月28日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ

 東京ガスは2016年1月4日から、家庭や商店が利用する低圧(契約電力50kW未満)の電力の販売を受付開始する。「ずっとも電気」という名前の3種類の料金プランを提供して、大市場の関東全域で東京電力に対抗する構えだ。

 「ずっとも電気」の料金プランは東京電力の従来の標準メニューに合わせた体系になっている(図1)。第1のプランは一般の家庭が利用している東京電力の「従量電灯B」に相当する。ただし契約電力が30〜60A(アンペア)の場合を対象にしていて、電力の需要が小さい10〜20Aの家庭や商店は対象外である。

図1 「ずっとも電気」の3つの料金プラン(上段)、家庭や商店向けの「ずっとも電気1」(中段の表)と「ずっとも電気2」(下段の表)。出典:東京ガス

 東京電力の従量電灯Bと比較すると、月額固定の基本料金は8%高い(図2)。さらに月間の使用量に応じて変動する電力量料金の単価は最低額の第1段階を20%も高く設定した。その代わりに使用量が多くなった場合に適用する第2段階と第3段階の単価が3〜8%低くなる。各段階の料金の適用範囲も拡大して、使用量が多い家庭ほど東京電力よりも安くなる体系だ。

図2 東京電力の「従量電灯B・C」の料金体系。出典:東京電力

 第2のプランは契約電力が6kVA(キロボルトアンペア)以上で、東京電力の「従量電灯C」に対抗する。6kVAは60A(100ボルト使用時)に相当して、従量電灯Bよりも多くの電力を使う家庭や商店が対象になる。このプランでは基本料金を従量電灯Cの現在の単価と同額に設定した。電力量料金は月間の使用量が120kWhを超えると3〜19%安くなるが、120kWh以下では24%も高い。

 消費電力の大きい業務用のエアコンなどを利用できる第3のプランでは、逆に月間の使用量が少ない場合に東京電力よりも割安になる。基本料金の単価は東京電力の「低圧電灯」と比べて7%低く抑えた。電力量料金は月間の使用量が130kWh(キロワット時)以下の場合にわずかに安いが、130kWhを超えると最大で18%も高くなる(図3)。低圧電力の対象領域では電力を増やさずにガスの使用量を維持したい考えのようだ。

図3 小規模な工場や事務所でも利用できる「ずっとも電気3」の料金プラン。出典:東京ガス
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