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» 2016年05月10日 09時00分 UPDATE

エネルギー列島2016年版(5)秋田:日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やす (1/4)

秋田県の沖合3カ所で洋上風力発電所の建設計画が進んでいる。最大で150基以上の大型風車を日本海に展開する。陸上でも風力発電が拡大する一方、地熱やバイオマス発電の開発プロジェクトが活発になってきた。太陽光と小水力発電を含めて再生可能エネルギーの導入量を10年間で倍増させる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 いよいよ日本の近海にも洋上風力発電が広がる状況になってきた。特に大規模なプロジェクトが集中しているのは秋田県の西側だ。能代(のしろ)港と秋田港では陸地に近い水深30メートル以下の浅瀬を利用して、大型の風車10基以上を設置する計画が進んでいる(図1)。

図1 能代港と秋田港の位置と全景。出典:国土交通省

 2カ所とも秋田県が再生可能エネルギーを拡大するために選定した海域で、漁業権は設定されていない。能代港の沖合では5.6平方キロメートルの洋上に16〜20基の大型風車を配置して、最大で100MW(メガワット)の発電能力を見込んでいる。一方の秋田港の沖合では3.3平方キロメートルの洋上に11〜14基の大型風車を設置して最大70MWの発電能力になる予定だ(図2)。

図2 能代港(上)と秋田港(下)の風車配置イメージ(それぞれ画像をクリックすると拡大)。出典:秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検討協議会

 県の公募で選ばれた丸紅を中心とする民間企業の連合体が発電事業者になって、2015年8月から建設前の環境影響評価の手続きに入った。順調に進めば2018年に2つの海域で工事に着手して、2021〜22年に運転を開始できる見通しだ。

 能代港と秋田港の沖合は年間の平均風速が7メートル/秒を超える(図3)。国内でも有数の風力発電の適地である。風力発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は平均風速7メートル/秒の場所では30%程度を見込める。

図3 能代港と秋田港の年間平均風速。出典:秋田港・能代港再生可能エネルギー導入検討協議会(NEDOの資料をもとに作成)

 2カ所を合わせて最大170MWの発電能力になると、年間の発電量は4億4700kWh(キロワット時)にのぼる。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算して12万世帯分になり、秋田県の総世帯数(39万世帯)の3割が消費する電力量に匹敵する。

 さらに2カ所の中間に位置する海域では、はるかに大規模な洋上風力発電所を建設する計画も始まった。能代港・秋田港のプロジェクトにも参画する大林組が最大455MWの洋上風力発電所を開発中だ。実現すれば秋田県の8割以上の家庭が必要とする電力を供給できる。

 対象の海域は沖合の49平方キロメートルに及ぶ。水深は30メートル以内で、発電設備を海底に固定する着床式で建設できる見込みだ。風車の数は75〜120基を予定している。2016年3月に環境影響評価の手続きを開始して、国の認可と地元の理解を得るプロセスに入った。

 沖合で洋上風力発電の開発が相次いで始まる一方、陸上でも風力発電所が続々と運転を開始している。その中でも最大の規模を誇るのは、2015年12月に運転を開始した「ユーラス由利高原ウインドファーム」である(図4)。

図4 「ユーラス由利高原ウインドファーム」の全景(画像をクリックすると所在地も表示)。出典:ユーラスエナジーホールディングス

 1基あたり3MWの風車17基を高原に設置して51MWの発電能力がある。年間の発電量は3万世帯分に相当する。この風力発電所が立地する由利本庄市(ゆりほんじょうし)の総世帯数(3万世帯)と同等の規模の電力を供給できる。

 発電所を運営するユーラスエナジーグループは秋田県内で4カ所の風力発電所を運転中で、発電能力を合計すると107MWに達する。同じ由利本庄市の高原地帯では5カ所目の風力発電所の建設も進めている。発電能力42MWで2018年4月に運転を開始する予定だ。

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