2025年でも“AIで起業”にチャンスはあるか? AIエージェントの可能性は?──安野たかひろ氏に聞く、AI時代のスタートアップ像(1/2 ページ)
2024年の東京都知事選出馬や、都のAIアドバイザー就任をへて、AIを取り入れた施策を次々と世に展開するAIエンジニア・安野貴博(たかひろ)氏。昨今は政治への参加が目立つが、2社のスタートアップを立ち上げた起業家でもあり、2024年には生成AIと起業をテーマにした小説「松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記」も世に出している。
2022年にChatGPTが登場し「AIで起業するなら今」といった言説が叫ばれ続けて数年。昨今は、自律的にタスクを分解して業務を実行する「AIエージェント」という概念も登場し、AIを巡るビジネスの戦況はより複雑化しつつある。
しかし、安野氏によれば“AI起業”によるチャンスはまだ続いている状態という。安野氏から見た現在のAIスタートアップを巡る環境、そして話題の「AIエージェント」が秘める可能性とは。
「AI受託開発には無限の需要」 安野氏から見た環境
――現在の国内AIスタートアップ環境をどのように見ていますか
安野氏:今、AIで起業することにはさまざまなチャンスが広がっています。技術面でパラダイムシフトが生まれており、これまでになかったタイプのプロダクトが一気に伸びる可能性がある状況です。
特にAI受託開発については無限の需要があります。大企業の仕事のやり方は大きく変えないといけないとみんな思っていて、導入すればすぐに成果が出る技術も出てきています。技術が分かり、プログラミングができ、ビジネスサイドも見られるAI受託系企業は、本当に今がチャンスです。
一方でリスクも大きく、AIのパラダイムが変わった瞬間に全く不要になってしまう可能性があります。OpenAIが新しい発表をした瞬間に、一瞬で自社のプロダクトが飛ばされるかもしれない状況です。
――AIスタートアップとして、これから起業する際のメリットはどこにあるとお考えでしょうか
安野氏:ChatGPTやAIエージェントの登場後を見据えて、組織における人員の配置比率を最適化して設計できることは、これから起業する上での大きな強みになります。例えば、米Salesforceのマーク・ベニオフCEOは「もうエンジニアを新たに雇用しない」と明言しているほど、AIによる生産性向上の効果が顕著に表れています。
実際、既存の従業員だけでも生産性が明らかに向上している状況です。そのため、今から新しく企業を立ち上げるのであれば、AIによる生産性向上を前提とした、より効率的な組織構造を最初から設計できるという利点があります。
――AIスタートアップへの投資状況など、VCエコシステムの現状についてはどうお考えですか
安野氏:創業期に関しては、VCエコシステム自体は良くなっています。良い仮説に対してちゃんと資金がついているし、むしろアーリーステージは資金が余っているくらいです。一方で、レイター段階や、ディープテック系で大規模な投資が必要な時期の資金の出し手が、海外と比べて少ない状況です。
その一つの原因は、日本のスタートアップ市場において最も希少なリソースが、実はリスクマネーではなく人材だということです。採用がスケールできないために事業がスケールできない会社が多く、今雇えればガンガン成長できる余地があるのに、雇えないから事業が伸びない状況があります。
そのため、人材の流動性を上げる、あるいは海外の人材とリモートで協力できる体制を作るといったことの方が、短期に大きくスケールするビジネスを作る上では重要になってくると考えています。
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