理化学研究所(理研)は8月22日、スーパーコンピュータ「富岳」の後継機「富岳NEXT」の開発に、米NVIDIAが参加すると発表した。NVIDIAはGPU基盤に関する設計を担う。これにより、高いAI処理性能の実現を目指す。
富岳NEXTは、理研が開発を主導するスーパーコンピュータ。6月には富士通がシステム設計やCPUなどの開発を担当すると発表していた。今後、富岳NEXTの開発は、2030年ごろの稼働を目標に、理研と富士通、NVIDIAの協力体制で進めることになる。
富士通が開発中のCPU「FUJITSU-MONAKA」の後継にあたる「FUJITSU-MONAKA-X」(仮称)と、NVIDIAのGPUを連携する。「CPUとGPU間接続には最先端の接続方式の採用を検討する」(理研)といい、富岳の5倍以上のハードウェア性能を目標とする。
ソフトウェア面でも、理研を中心に、シミュレーションの結果をAIで予測し、計算時間を短縮する「サロゲートモデル」などを導入。重要な演算には高精度を、負荷の大きい演算には低精度を適用し、省電力化しながら処理速度を高める「混合精度演算」などの技術も取り入れ、ハードウェアによる高速化とは別に、アプリケーション実行性能を10〜20倍向上させる狙いだ。
最終的には、富岳開発時点と同様の電力(訳40メガワット)で、最大100倍程度のアプリケーションの高度化および高速化を図る。また、AI処理性能を高めることで、科学研究へのAI活用も後押しするという。
理研は、NVIDIAが富岳NEXTの開発に参加する背景として「これまでのスーパーコンピュータが追求してきたシミュレーション性能だけではなく、シミュレーションとAIの双方において世界最高水準の性能を達成し、さらに両者が密に連携して処理を行うことができる『AI-HPCプラットフォーム』となることが求められている」と説明。富岳の開発で培ったCPU技術とNVIDIAのGPUを組み合わせ、AI処理性能の向上を目指すとした。
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