自民党副幹事長で弁護士の塩崎彰久衆議院議員は10月3日、米OpenAIの最新の動画生成AI「Sora 2」に対して「政府は説明を求めることを検討すべき」と指摘した。Sora 2が、日本のIP(知的財産)に類似した動画を生成できることを問題視している。
Sora 2は、OpenAIが1日発表した動画生成AI。前モデル「Sora 1」に比べ、物理法則に忠実に動く映像を作成できることが特徴だ。SNS上では、その性能の高さに驚く声が上がる一方、人気アニメ「鬼滅の刃」「ワンピース」「ポケットモンスター」など、日本のIPに類似した動画を生成できることから、著作権の侵害を懸念する声も広がっている。
塩崎議員は1日、Sora 2について「私も触ってみましたが、重大な法的・政治的問題があると感じた」と自身のX(@AkihisaShiozaki)で投稿。「世界をリードする日本のクリエイターの皆さんやコンテンツ産業を守り、育てていくためにも、早急に対応したい」としていた。
これに続く3日の投稿では「日本政府は、事態が改善されなければ開発企業に対して2025年に成立したAI推進法16条の調査権を発動し、まずはSora 2の基本仕様やフィルタリング措置、削除対応・実績などについて説明を求めることを検討すべき」と指摘した。
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(いわゆるAI推進法)は、AIの活用を推進し、国民生活の向上や経済の発展を目指すもの。第16条「調査研究等」では、不適切なAI研究・活用によって「国民の権利利益の侵害が生じた事案」を調査し、その結果に応じて、研究機関や事業者に指導や助言など必要な措置を取るとしている。
「24年に、自民党のAIプロジェクトチームで(AI推進法の)法案骨子を検討した際、まさにこうした事案への備えとして法的調査権限を規定した経緯がある。さまざまなルートで対応を進めていく」(塩崎議員)
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