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「MS」×「SM」×「その後」International Feel

» 2004年04月16日 17時41分 公開
[松尾公也,ITmedia]

「MS=SM」その後

 「19億5000万ドルでは終わらない? サン・マイクロソフトの合意内容が明らかに」というCNET記事は、MicrosoftがSun Microsystemsに支払う金額に関するものだ。MSは19億5000万ドルを支払うことになっているが、Sunは「これ以外に、特許提供に対する見返りとして、今後10年間に最高で4億5000万ドルもの金額を手にする可能性が出てきた」という。

 この金額を支払うことにより、MSがどのような実利を得るかについて、この記事は推測している。特許に関して非常に積極的な同社が、この特許使用契約をフルに活用し、その間に自社の特許を十分なものにしようというのが、その狙いだという。同じテーマを扱ったIDG記事「MSからSunへの10年の支払いで包括クロスライセンス」は、もう少し掘り下げており、この契約の特異なポイントを指摘している。

 今回の和解に関するアナリストの意見をまとめたinternet.com記事、「Sunの現金戦略は功を奏するか?」によれば、巨額の現金と両社の技術提携は、Sunにメリットをもたらすものの、この提携でSunの将来が明るくなるかどうかは疑問だとしている。「Sunの収益悪化見通しから目をそらす結果につながる」「Sunはハードウェア部門を切り捨てるべきだ」という意見も飛び出している。

 ちょっと気になるのが、Gartnerのアナリストが述べている、日立製作所が同社の事業を買収する可能性。IBMのハードディスク部門を買収し、黒字転化させた実績はあるが、Sunのハードウェア事業は、日立にとって魅力的だろうか?

 当然、Sunもハードウェア事業絞り込みの必要性を認識している。提携から間髪を入れずに「UltraSPARC VとGeminiの投入計画中止」を発表。2月の時点では、今春テープアウトだと発表していたUltraSPARC Vをキャンセルし、次期ハイエンドプロセッサは、Rockの登場まで待つことになる。この記事の予想では、「少なくともRockのデビューまであと2〜3年は、リリースしたばかりのUltraSPARC IVをハイエンドサーバ向けの主力プロセッサとして扱うだろう」とのアナリスト予想を記載している。

 ZDNetのコラムニスト、ジョン・キャロル氏は、MSとの平和協定により、Sunが得られるメリットについて、コラム「共通の敵を見出したSunとMicrosoft」の中で、3つのポイントを指摘している。

 まず、IBMやHPに先を越されていた、Windowsとの互換性を促進できること、次に、Windowsデスクトッププロトコルのライセンスにより、Linuxとの差別化をはかることができること、これは、GPLでは不可能なことだ。3点目としてキャロル氏が挙げているのは、Javaバイトコードを.NET ILに変換し、実行させることにより、Javaが.NETとシームレスに相互運用できる可能性。3点目が実現すれば、確かに画期的なのだが。

 MSはJVMのサポート延長を発表したが、これはあくまでも旧式Java仮想マシンのサポート継続であり、「現時点で当社の技術投資は.NETフレームワークに向けられており、Javaのライセンスを取得し直すという決断は、私の知る限りない」とMSのプロダクトマネジャーはコメントしている。Javaと.NETの互換性確立、相互運用への模索は、まだまだこれからのようだ。

で、「敵」となったIBMとLinuxの動き

 再編に動いているのはSunばかりではない。Sun=Microsystemsの明白な「敵」であるIBMも、事業再編に動き始めた。かつてはプリンタ部門、最近では日立へのハードディスク部門売却を行ったIBMだが、次なる「売り物」は、なんとPowerPC! とはいっても、「IBM、PowerPC 400シリーズをAMCCに売却」というわけで、POWERアーキテクチャーの影響力を高めようとする構想に基づいた、組み込みプロセッサにおけるパートナー拡大と見るべきだろう。

 一つ売れたので、一つ買いましたぁ、というわけでもないのだろうが、同じタイミングで発表されたのが、「Schlumbergerの復旧サービス部門買収」。欧州をはじめとする世界各地に40カ所以上の復旧施設を持つSchlumberger Business Continuity Services(SBCS) 買収で、障害復旧サービスをさらに強化しようという構えだ。

 Linuxではおもしろい動きもあった。Windows上でLinuxをネイティブに動かす「coLinux」がアナウンスされた。WindowsとUNIXを共存させる動きとしては、BSD on Windows、MacならMachTenというのがあったが、CoLinuxは、KNOPPIX Japanese Editionを、VMWareやVirtual PCなどの仮想化ソフトを使わずにネイティブで動かすことが現時点では確認できたという点で画期的だ。これからさらなる対応は確認されるだろう。

 MSから狙い撃ちにされているLinux企業、Lindowsは、LindowsOSの米国外向けの新名称を「Linspire」に決定。日本ではLindowsOSのまま継続する。

CloseBox

 先週から果てしなく続いているのが、自宅のサーバマシンの修復である。自宅環境はBフレッツベースのKDDI固定IPサービスで、DSN、Web、メールのサーバを立てて運用しているのだが、このマシンが不調になってしまった。

 Pantherにすると、これまで使っていたサードパーティ製サーバソフトとの互換性に問題がありそうなので、Jaguar→Pantherアップグレードを止めていたのだが、一瞬の気の迷いで、やってはいけないアップグレードをやってしまった。これがケチのつき始め。Pantherで劇的に速くはなったものの、これまで使っていたサーバソフト、QuickDNSやらiToolsやらが動作しなくなってしまった。ならば、ということで、次はPanther Serverをインストールするのだが……。

 Panther Serverを入れて、iToolsをアンインストールして、再起動すると、今度はマシンが立ち上がらない。ディスクトレイのイジェクトキーも効かない。こ、これは……。すべておじゃんというやつである。で、このダメになったマシンというのが、eMacの旧モデル。なんと、eMacの新モデル登場のその日にである。しかも、新モデルは9万4290円で1.25GHzとお安い。こういうのもアップルタイマーというのかな?

 とりあえず、私のPowerBook G4/500MHzは、UPS内蔵サーバマシンとなったのだった。サーバソフトは、TenonのiTools 7.3のバーチャルサーバ、DNS管理にMen & MiceのQuickDNS 4.6.3、メールサーバはStalkerのCommuniGate Pro 4.1.8という組み合わせ。整備は、今週の週末も食いつぶすのだ。

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