Windows Vistaを発表するに至るまでの数日間、Microsoftは舞台裏でかなりの苦悩を抱えていたに違いない。正式名称の発表は唐突だった。少なくともわたしはそのタイミングに驚いた。
これまで皆さんには言えなかったのだが、Microsoftは7月15日にサンフランシスコでおよそ20人のメディア関係者を集めてワークショップを行った。4時間のブリーフィングで、わたしたちはVistaのβ1の概要をしっかりとつかむことができ、プレβ1を受け取って帰った。MicrosoftのOKが出るまでは、これについて話してはいけなかった。解禁は7月27日になるとほのめかされ、実際にβ1はその日にリリースされた。
わたしはワークショップで、新OSの名前の選択は済んだのか、もしそうならいつ発表されるかと聞いた。Longhorn/Vista開発責任者ブラッド・ゴールドバーグ氏を含むMSチームは「近いうちに」発表されると答えたとき、クッキーの容器に手を入れたところを見つかったような顔をしているように見えた。
名前の選択はまだだと考えてワークショップを後にした人も何人かいたが、わたしには、MSチームが解禁前にうっかり口を滑らせまいとしていたのが見え見えだった。
Microsoftは正式名称の発表、β1のリリース、アナリストミーティングをもっと準備したかったのだろう。結局は22日に正式名称が発表され、β1を8月3日までに出荷すると約束された。
先週の27日の解禁を受けて、その日にあらゆる記事が書かれ、28日にはアナリストミーティングが行われた。だがわたしたちの手元にはまだβ1がない。
何度もの遅れや後退、そして(発表や出荷可能なβ版など)極めて単純なことを準備するのに手間取っていることから、わたしはこのOSに関してほかに何を用意しなくてはならないのだろうかと思っている。Vistaは本当にチャンスをつかむにふさわしいものが、これまでのところそれを見つけていないようだ。
今年の金融アナリストミーティングに関して、わたしはレドモンドに埋め合わせをするべきだったのだろうが、しなかった。年に1度のこの会議で、Microsoftは厳しい質問をしそうな聴衆に、基本的にすべての有名製品を披露する。
わたしたちはこのイベントを十分に報じたが、製品とサービスの大きな新市場を作れるというMicrosoftの楽観姿勢を伝えているという自信がない。問題は――あまりに大きくてこのコラムの残りのスペースでは書けないが――Microsoftは顧客が実際に金を払う製品やサービスの構築で苦労しているということだ。アップグレードを売るのはもっと難しい。Windows Vistaが大量に市場に入り込むには、新品のハードに搭載された形で販売されるしかなさそうだ。
Microsoftには本当に素晴らしいことをやる能力があると思うが、同社は顧客を明日へと導くのに十分な説得力を持った製品を作るのに苦労している。同社の最大のライバルは、顧客が喜んでお金を払うほど優れた次期バージョンを作れないことかもしれない。Microsoftの計画の中で、本当に皆さんが持っておかなければならなくて、簡単に実装できる成果があるだろうか?
それはわたしも持っていないが、Vistaがそうなのかもしれない。成り行きを見守るしかない。
Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR