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Googleブログの厚かましさ(1/2 ページ)

» 2007年07月18日 07時00分 公開
[Evan Schuman,eWEEK]
eWEEK

 勢いのある新興企業が急速に成長するときには、天井に頭をぶつけるまで伸びる傾向がある。

 そこまで来ると、今度はやりにくい段階に入り、説明しにくい決定を下すようになる。たくさんのお金をどれだけ早く使うかという「バーンレート(資本燃焼率)」のことではない。むしろ、「燃え尽き&内部崩壊率」とでもいうものだ。

 このパターンはあまりにもありふれている。自身の焦点にこだわっていたアグレッシブな企業は、予測もしていなかった分野に手を広げ始め、おそらくは何件かの超高額買収を行うだろう。これまで何度も言われてきたように、そうした異例の決定が下されるようになったとき、問われるのは「誰がこんなことを考えたのか?」ではなく、「誰がこんなことを承認したのか?」であるべきだ。

 この発展の後期段階で、わたしは普通ならGoogleはそのような段階を超えたところまで成長したと考えるところだが、最近の2つの事件から、同社の伝説的な規律に軟化の兆しがまったくくないのではないかと思うようになった。

 まずはGoogleが先月、eBayの大規模な年次コンベンションと同時期にパーティーを開くと決定した件だ。このパーティーはeBayの顧客に、電子商取引にeBayのサービスではなくGoogleのサービスを使わせるためのものだった。eBayがGoogleの大口顧客だということは言ったかな?

 eBayはGoogleに出していた広告をすべて引き上げるという手で反撃に出て、Googleはすぐにパーティーをキャンセルした。eBayは後に、広告の一部を元に戻すと表明した。たぶんそうするだろう。Googleがお行儀よくして、歯ブラシで車を洗っていれば。

 これは奇妙な一件ではあったが、おそらくは例外的な、おそらくはちょっと行き過ぎた熱意がチェックされなかっただけだと片付けることもできる。

 だが今月、Googleの新しい企業ブログの1つに、マイケル・ムーア監督の新作映画「Sicko」に関する投稿があった。この投稿は、New York Timesによると「Googleのヘルスアカウントプランナー」とされるローレン・ターナーというGoogle社員が書いたものだ。

 ターナー氏はムーア監督とSickoを激しく非難、「ムーアは保険会社、医療従事者、製薬会社を医療システムの最悪の例外的で感情的なストーリーと結びつけて攻撃している。ムーアの映画は、医療業界が金と宣伝に突き動かされているかのように描いており、患者の幸福と治療への業界の関心を描き出していない」と主張した。

 しかし、問題はターナー氏の姿勢そのものではなかった。問題は、Google社員と見られる人物の署名入りのGoogle公式ブログで、明らかにGoogleの声として書かれたこの強烈な言葉が、どういうわけかGoogleの姿勢として解釈され得るということに、Googleの上級幹部が驚いているらしいことだ。

 これがGoogleの声として書かれたのかどうか分からないのなら、以下の行を見てみるといい。「イシューマネジメントキャンペーン、あるいは当社がどのようにオンラインでの資産活用を支援できるかに関心がある方は、われわれにメールを送ってください」。決め手は「われわれ」という言葉だ。

 この問題を回避する方法はある。だが企業が公式ブログを持ち、社員にブログを書かせたら、企業の見解はたくさんの不愉快な疑問を生むものだということに驚くことになる。

 Google自身、この件でチェックが不十分だったことを認めており、Googleプロダクトマネジャーのミッシー・クラスナー氏は別のエントリで率直に「失敗した」と述べている。

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