ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

MSがWindows Vista互換性センター――今さら?

» 2008年07月09日 15時01分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK

 わたしは何か見落としているのだろうか。MicrosoftがWindows Vista互換性センターサイトのβ版を開設するそうだ。Vistaの一般発売から17カ月も経つのに。

 だが、これは正真正銘の事実だ。「Windows Vista Compatibility Center」の開設は、Microsoftが米テキサス州ヒューストンで開催中のWorldwide Partner Conferenceで行った最も大きな発表の1つだ。しかし、こうしたサイトの開設は、OSの発売前に行うことでは? ここにきて互換性ツールをリリースするなら、それはβ版ではなく、正式版であるべきでは?

 わたしはβ版の内容を記事にしようと考えた。だが、Windows Vista Compatibility Centerにアクセスしたところ、以下の画面ショットのように、中身はまだ空っぽだった。これでは今回の開設発表は、Tシャツにプリントされたスローガンのようにしらじらしい感じがするだけではないか。実体が何もないのだから。ベイパーウェアのように、このサイトは前宣伝ばかりで、いつまでも開設されないのではとさえ思えてしまう。

currently unavailable

 こんなことでは、MicrosoftがVistaに対する否定的な見方をぬぐい去ることは到底できない。新しいツール、しかもβ版を発表しておきながら、「少ししたらまたチェックしてください」という案内を出すようでは話にならない。

 Microsoftのプレスリリースにはこう記されている。「Microsoftはこの新しい互換性ツールにより、顧客とパートナーから継続的なフィードバックを得ることに努め、彼らがWindows Vistaへの移行後長期にわたって、製品を円滑に購入、導入できるように取り組んでいく」

 お題目の羅列だ。Microsoftは、Vistaへの移行を考えた顧客を、お気に入りのゲームや必要なアプリケーションが動かないせいでがっかりさせるのではなく、少しはこのOSに信頼や満足を感じられるようにしてはどうか。

 わたしの周囲にも、Vistaの互換性問題に不満を抱く人々がいる。あるカメラメーカーのために日本語の翻訳の仕事をしている友人がいるが、彼はWindows Vista搭載の新しいノートPCを買ったものの、翻訳ソフトがこのOSと互換性がないことが分かった。彼は解決策として、Fry's Electronicsに出掛けてWindows XPを買ってきた。彼はVistaでは、前向きに評価するに値する経験を何もしなかった。Vistaは選択肢にもならないという。

 プレスリリースの「サポートされている7万7000のデバイスとコンポーネント」というくだりでは笑ってしまった。「サポートされている」とは「互換性がある」ということだろうか。Microsoftは何を数えてこのばかげた数字を出しているのか。PCのねじだろうか。これは重要なデバイスやコンポーネントの数ではなく、何でもかんでもカウントしたものだ。上に述べたようにアプリケーションの互換性確保もうまくいっていない。わたしの場合、Nokia N95のファームウェアを最新のものに更新できずにいる。アップデータとWindows Vista Service Pack 1(SP1)に互換性の問題があるからだ。

 このブログ記事を投稿する前に、わたしはWindows Vista Compatibility Centerにもう一度アクセスし、まだ開設されていないことを確認した。しょせんまだ開設されていないものについて、開設時期をうんぬんしようとは思わない。なお、記事の投稿後にアクセスしたところ、「ページが見つかりません」というWindows Live Searchのエラーページにリダイレクトされた場合もあった。

 Worldwide Partner Conferenceで発表された中で、少なくともWindows Vista Small Business Assuranceプログラムは、具体的な中身があるものだった。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.