ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

MS、携帯アプリ市場「Skymarket」でAppleとGoogleを追撃か(2/2 ページ)

» 2008年09月04日 12時36分 公開
[Joe Wilcox,eWEEK]
eWEEK
前のページへ 1|2       

遅くても何もしないよりまし

 Microsoftは、Skymarketのような試みを進めているはずだ。だが、それを十分早期に実現させることはできない。同時並行で準備しているWindows Mobile 7のリリースは遠い先だからだ。Appleは市場で先行しており、Microsoftが12〜18カ月で巻き返すのは困難だろう。端的に言って、App StoreのおかげでiPhoneは、21世紀をリードするプラットフォームとなっている。だが、このプラットフォームの優位性は、音楽におけるiPodとiTunesの場合もそうだったように、Appleの実行力と競合他社の対応次第だ。

 携帯電話の今後の運命は、PCの運命と同様に明白だ。携帯電話とMID(Mobile Internet Devices)がコンピューティングの将来を担う。これまでのPCの時代は急速に過去のものになりつつある。確実なことなので、ここでも繰り返そう。モバイル機器はコンピュータに代わって、最も広く使われるパーソナルデバイスになるだろう。役割が交代するのは避けられない。PCがすぐに消え去ることはないが、その重要性は著しく低下するだろう。

 しかし、どの企業が、PCの「P」に込められたパーソナル性をモバイルに受け継がせる画期的な方法を考え出すのか。将来のリーディングプラットフォームでは、Symbian OSやWindows Mobileではなく、iPhone 2.0が動いているだろう。AppleのApp Storeがその理由だ。iPhoneが次の「P」(パーソナル)デバイスなのだ。

 携帯電話は、人々が持ち歩く最もパーソナルなデバイスだ。App Storeは、その使い方を個人が自分用にアレンジするための手段を提供する。さらに重要なことに、ユーザーはアプリケーションを状況に応じて選択、入手して利用できる。App Storeは常時オープンしているからだ。バスを待つのに飽きたら、友人と連絡を取るためのアプリケーションや、時間つぶしのゲームをApp Storeから入手できる。地下鉄が遅れて家になかなか帰れないなら、Wiiゲームの移植版はどうだろう。App Storeで提供されるアプリケーション「Super Monkey Ball」は、そんなふうに待たされて退屈なときにうってつけかもしれない。iPhoneのモーションセンサーを使ってコントローラなしで遊べる。

 App StoreはiPhoneユーザー向けのアプリケーションを一手に提供している。ほとんどの人が携帯電話を持っている中で、App StoreはiPhoneの大きな差別化要素となっている。iPhoneにはソフトの配信を受ける仕組みが内蔵されており、アプリケーションを気軽にダウンロードできるだけの十分なデータ容量が用意されている。またAppleは、開発者がソフトを販売するためのメカニズムを提供しており、デジタル著作権管理技術でこれらのソフトを悪質なコピーやカジュアルコピーから保護している。Windowsでも、膨大な対応アプリケーションのためのこうしたストアが開設されてしかるべきだ。

 Microsoftは、AppleがApp StoreをAppleのキラーアプリケーションとして確立するのを手をこまねいて見ているわけにはいかない。しかも追い打ちをかけるように、Googleもモバイルマーケットプレイスを開設しようとしている。来週でも遅過ぎるし、来年では、NASAが2018年に月の有人探査を再開しようとしているのと同じくらい先のことに思える。Windows Mobileマーケットプレイスは、今の時点でなければならないサービスだ。

 Microsoftにアドバイスしよう。今すぐに何かをローンチすべきだ。Microsoftに、まだ未完成なものをリリースするよう勧めるというのは、普段ならしないことだ。しかし、生焼けのパンでも、何もないよりはいい。既にMicrosoftは、Xbox LiveZuneのマーケットプレイスを持っている。どちらも著作権保護されたコンテンツやゲームを非PCデバイスに配信している。Windows Mobileデバイス用のLiveインフラで、.NETやSilverlightベースのアプリケーションやウィジェットを用意するのは、それほど大変なのだろうか。

 Appleのモバイルおよびサポートアプリケーションのマーケットプレイスは、iPod同様に厳しく管理されたクローズドアーキテクチャの一部をなしている。iPhoneが十分に長い期間にわたって十分な数の開発者を取り込んでいけば、Windows Mobileは追い付けないだろう。成功したプラットフォームには、共通する重要な特徴が幾つかある。その最たるものは、Windowsにも当てはまるが、サードパーティーが多くの利益を上げることだ。Appleは、人気のデバイス向けに独占的に配信を行い、開発者に直ちに収益をもたらすストアを持っている。

 この第一の特徴と関連するのが配信だ。AppleはiPodで配信体制を確立しており、iPhoneでも整備を進めている。Microsoftとしては、開発者をiPhoneに奪われるわけにはいかない。iPhone用のアプリケーションが増えるほど、そのプラットフォームが成功する可能性が大きくなり、そして、より魅力的なアプリケーションを作成する開発者も増える。Windowsが示したように、このフィードバックループは、やがて永久運動に近い状態に到達する。

 Microsoftのモバイル戦略についてもまだ言うことがあるが、これは別の記事で書こう。

前のページへ 1|2       

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.