Microsoft直営店はAppleの不安の種になるだろうか――もしもその店がMicrosoft的ライフスタイルを売るのなら、答えはイエスだ。もしも小型版Wal-Martになるのなら、Appleは笑いが止まらないほど大もうけできるだろう。
デビッド・ポーター氏は2月16日、Microsoftの小売り担当コーポレート副社長としての仕事を始めた。彼はその前にDreamWorks Animationに2年間、Wal-Martに25年間勤めていた。彼の最初の役目は、Microsoft直営店のプランを立てることだ。
わたしは以前から、Microsoftは直営店を持つべきだと唱えてきた。Appleが成功しているからではない。Microsoftは深刻なマーケティングの問題を抱えている。Appleも同じ問題に見舞われ始めている。その問題とは、製品が複雑なためマーケティングがややこしくなるというものだ。簡単にまとめると、以下のような点が問題だ。
これがMicrosoftが直営店を開くべき理由だが、同社の幹部にはまた別の理由があるのかもしれない。主な理由がAppleなら、Microsoftストアは開店前から失敗する運命にあると予言しておく。Appleをつぶすというのは、小売店を開く理由として間違っている。
Microsoftの直営店計画について、Twitterには多くのコメントが書き込まれている。ジム・ホンはいい点を突いている。「Microsoftはどんなブランドイメージを追求するんだろうか? ブティック型か、安売りか。かっこいいのか、実用的なのか」
Microsoftが直営店で追求できる道はいろいろある。
ジムの疑問は的を射ている。彼の疑問への答えはいずれも「イエス」であるべきだからだ。Microsoftは価格志向で、同時にかっこよく、実用的な直営店を開かなくてはならない。店舗を4分割するのが賢明だろうが、Appleと同じやり方ではいけない。Appleストアはかつて、写真やビデオなどのライフスタイルの機能によってセクション分けされていた。今はより製品を中心にした分け方になっている。Microsoftはもっと大胆に、それぞれの区画で異なるデジタルライフスタイルを扱うべきだ。
わたしなら、Microsoftストアの中心には、動きや興奮に満ちたハブを置く。Microsoft的ライフスタイルのさまざまなかっこいい面や、各種の製品がどう連係するかをスクリーンに映し出す。周辺にはライフスタイル別のセクションを配置する。ビジネス、ゲーム、モバイル、音楽、スクール、ティーンという区分けはどうだろうか。
ティーンはMicrosoftにとって最優先で売り込むべき層だ。その理由を以下に挙げる。
MicrosoftがAppleのまねをするのなら、レジは端に置くか、まったく置かないようにするべきだ。携帯型POSデバイスを使うAppleのやり方は非常に素晴らしい。Microsoftも同じようにするべきだ。何しろ、Appleストアで使われているPOSデバイスはWindows Mobile/CEを搭載しているのだから。
Microsoftストアの一番のお手本はAppleではなく、Nokiaとソニーの混合型だ。両社ともマーケティングと販売チャネルに関して、以下のようにMicrosoftと同様の問題を抱えている。
ソニーは「SonyStyle Store」という名称ですべてを物語っている。ライフスタイルがポイントで、Microsoftのように、「一緒に使うともっと良くなる」製品を多数販売している。ソニーは最近、直営店にBackStageブースを置いている。AppleのGenius Barのように、技術的な支援をする場所だ。ソニーはまた、SonyStyleサイトでBackStageを宣伝している。MicrosoftストアもAppleやソニーと同様のサポート・トレーニングサービスを提供し、Microsoft的ライフスタイルのプロモーションに重点を置くべきだ。
ソニーが米国で約60カ所に店舗(直販店含む)を置いているのに対し、Nokiaは同国の2カ所で旗艦店を営業している。米国ではNokiaはあまりマーケティング活動をしていない。米国よりもアジア、アフリカ、欧州の方が携帯電話が売れるからだ。IT企業の中で、Nokiaはライフスタイルマーケティングのゴールドスタンダードだ。Appleよりもずっと優れている。
わたしが提案するMicrosoftストア案は、ライフスタイルの強調が目的だ。同社はもっと具体的で人々が共感するものを求めているのかもしれない。それが「I'm a PC」なのかもしれない。
Microsoftは単に自社の技術を売るのではなく、かっこいいライフスタイルを売り込むようなやり方でそれを使わなければならない。ハイテクテーブルSurface、Touch Wall、Windows 7のマルチタッチスクリーン、Photosynthを使ったデジタルカメラのデモ、WorldWide Telescopeを使った学習エリアを置くべきだ。Songsmithカラオケコーナーはどうだろう?
Microsoftが直営店に乗り出すタイミングは最悪だと示唆する論評も幾つか読んだ。そうした論評は、多くの小売業者が破産しているときに、新たに小売店を立ち上げるのは正気じゃないと主張している。それこそが間違い。間抜けな考え方だ。この不況で、2009年は新しい小売りチェーンを立ち上げるのにいい年になる。その理由を以下に挙げる。
Microsoftはビジョン次第で成功するか、あるいは失敗する。Wal-Mart方式で行くのなら、デビッドには小売業での経験があり、Microsoftがわざわざやることではないはずだ。1月に披露した偽ストアのような構想なら、それもまた、わざわざやる理由がない。きまじめなMicrosoftは大胆にならなくてはならないし、Appleがやったことを小売りでやらなくてはならない。それは競争相手を時代遅れに見せることだ。それができなければ、AppleはMicrosoftストアのことを心配する必要はない。
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