「そういえば、ケータイにロックかけてるか?」「ケータイにロックなんかかけてないですよ、やましいと思われちゃうじゃないですか」──。
大手総合商社・メデア商事の新人・小林ケンタは先輩・高柳ワタルと昼食を食べに食堂に来ていた。注文を終え、食事が運ばれてくるまでの間、小林はおもむろにケータイを取り出し、いじり始めた。
高柳 そういえば、小林はケータイにロックかけてるか?
小林 えっ! ケータイにロックなんかかけてないですよ(ロックなんかしたら、彼女にやましいことでもあるんじゃないかって思われちゃうよ)
高柳 どうせ、カノジョに怪しまれるんじゃないかと思ってるんだろ(苦笑)
小林 いえ、あの、そういうわけじゃないんですけど(くっ、なぜ分かった……)
高柳 あはは。もしかして、そもそも私用のケータイって持ってないとか?
小林 一応は持ってますけど、会社のケータイに転送するようにしてあるんです(だって私用と分けると面倒くさいし)。
高柳 ってことは実際のところ、会社のケータイしか使ってないってことだな。
小林 えぇ、まぁ……。
高柳 だからだよ。
小林 だからって?
高柳 会社のケータイと私用のケータイをちゃんと分けて使っていればいいんだよ。私用のケータイにロックなんかかけたらカノジョが怪しむのは仕方ないと思うけど、会社のケータイなんだから、ロックするのは当たり前だ。怪しまれたらキチンと説明して納得してもらうしかないだろう。こればかりは普段からの行動が大事だな。
小林 えっ、でも(それは分かっているんですけど……)。
高柳 会社のケータイには、取引先の電話番号とか、業務上の連絡に使ったケータイメールだとかが保存されてんだから、これも充分に社内情報だ。
小林 それはそうですが……。でもね、でもですよ。いつも肌身離さず持ち歩いているから大丈夫かな、と……(でもこの間、便所に忘れかけたんだよなぁ)。
高柳 それでも落としたり、置き忘れたり、絶対になくさない保証はできないんじゃないか? 人間のやることなんだしな。もしそれでお前のケータイの中に保存された情報が外部に漏れたら、これは充分に「情報漏えい事故」になり得るぞ。
小林 えっ、あっ、はい、確かに……(うわあ、確かにヤバいかも。こりゃ彼女に納得させなきゃ)
高柳 それからケータイを紛失したら、遠隔操作でリモートロックかけておけばさらに安心だ。自分のケータイの操作方法をよく確認しておくといいだろう。
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多くの利用者が、会社の業務で使用しているケータイにロックをかけていない。しかし実際にはケータイを落としたり、置き忘れたりして、紛失したり、場合によっては他人の手に渡ったりするケースは決して少なくない。「自分だけはケータイをなくすことはない」という思い込みは捨てよう。そして万が一紛失してもケータイ内に収められた情報が漏えいすることがないようにロックをかけることを忘れてはならない。
もし「やましい」と思われることを恐れているのなら、私用と仕事用をきちんと使い分け、仕事用のケータイにロックをかけることの必要性をきちんと説明して納得してもらう努力をしよう。
ちなみに編集部で女性スタッフ数人に聞いたところ、ほとんどがケータイにロックをかけると「あやしい」と感じるとのこと。「信頼できそうかどうか、怪しいそぶりがあるかどうかがポイント」との声もあり、日ごろの言動には注意しておこう。
どうしてもケータイにロックするのがイヤだったら、ケータイに登録する人の名前を自分だけが分かるあだ名で登録するのも方法だ。なくした時に、人名が特定できないことがポイントになるからである。もちろん、ロックをかけておくのが第一だが次善の方法を知っておくのも悪いことではないだろう。
セキュリティ関連の話題を中心に執筆中のフリーライター。翻訳(英語、韓国語)やプログラミング、システム構築等コンサルなど活動は多岐に渡る。JPCERT/CC専門委員。Webサイトはこちら。
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