インタビュー
» 2008年02月21日 09時20分 公開

【番外編】「高校生がもっと出てきてほしい」――「ねみんぐ!」を作った現役高校生3人組からのエールひとりで作るネットサービス(2/3 ページ)

[田口元,ITmedia]

Webサービスは作り手が完成させちゃいけない

「ねみんぐ!」の元となった安野さんのメモ。思いついたらすぐその場でメモするのが安野さんの習慣だ

 「気になるアイディアはすぐにメモ帳に書き留めます。そしていいな、と思ったアイディアはマインドマップでもう少し広げるようにしています」。安野さんは自分のメモ帳を広げながらそう説明する。3人で作ったネットサービス、「ねみんぐ!」はこのメモ帳から生まれた。

 「脳内メーカー顔ちぇきが流行っていますよね。あれってなんで流行っているんだろうと、ずっと考えていました」。これらのネットサービスは純粋にコンテンツを生成しているというよりは、”コミュニケーションのネタ”になっている――そう安野さんは分析したという。

 脳内メーカーは名前をもとに、顔ちぇきは顔写真をもとにネタを作っている……だったら誰もが持っている普通の写真をもとに会話を生み出せないだろうか。「画像をアップすると、勝手にその画像に名前を付けてくれるサービスはどうだろう?」。安野さんは倉世古さんにメッセでそう話しかけた。

 「流行どころをおさえているなぁ、と思いましたね」。倉世古さんはこのときそう思ったという。自分はあまりアイディアを出すのは得意ではない、と語る倉世古さん。でも実装の部分だったらできるから、と快く協力することにしたという。命名するためのロジックはどうすべきか、やっぱりメールでも投稿できるようにしたいよね――そうした議論が安野さんと倉世古さんの間で交わされるようになった。

 「『ねみんぐ!』の仕様はああなった、こうなった、というメッセを勝手に送りつけてきたんです」。当時は「ねみんぐ!」に協力するはずじゃなかった、という草野さん。「でもやっぱりモノづくりがしたいんです。そうした餌につられていつのまにか協力することになりました(笑)」。こうして草野さんも参加。HTMLやCSSが得意だったので主にWebデザインを担当することになる。ただ、デザインは一度出来てしまうと手が空いてしまうので、コーディングの一部も担当した。

 「ねみんぐ!」で選んだ言語はRuby。「とにかく資金がありませんから(笑)」という3人。もっとも重要視したのはサーバのコスト。なるべく安いサーバを借りることにして、その上でどの言語が使えるかを調べ上げた。「その安いサーバではPHPが使えなくて……。でもRubyは使えるのです。そこでRubyを勉強して作ることにしました」

 3人は遠隔地に住んでいるため、直接会って議論することはできない。仕様や設計については「メッセでだらだらと」議論し、無料のWikiレンタルサービス、@wikiを使ってまとめていった。WikiでまとめたToDoはcheck*padで共有し、それぞれがタスクをこなしていった。

終始、にぎやかに意見を交わす3人
これが「ねみんぐ!」。画像内をクリックすると上写真を「ねみんぐ!」した結果が見られる

 そうして出来上がった「ねみんぐ!」をリリースしたのが2008年の1月。驚いたことにすぐに有名プログラマーである小飼弾さんのブログで取り上げられた。「あの人のアンテナはどうなっているのでしょうかね?」とうれしそうに笑う。

 ただ、小飼さんのブログで取り上げられたことによって、大変なことになった。安いサーバを借りていたので300Mバイトの容量ぎりぎりぐらいまでに画像のアップが相次いだのだ。「一時は280Mバイトぐらいまでいっちゃいました。しばらくは必要ないだろうと思って、投稿画像の削除機能を作っていなかったのです」。このままではサーバがパンクしてしまう――焦った倉世古さんは2時間で画像の自動削除機能を実装し、事なきを得たという。

 その後、「ねみんぐ!」はユーザーの声を取り入れながら順調にバージョンアップを繰り返す。反響も上々だった。その初めての経験に、3人はとにかく感動した。「大勢の人に使ってもらえる、という経験が初めてだったのです。ブログやブックマークで感想があがるたび、うれしくてうれしくて」

 サービスの公開後はユーザーの声を吸い上げるためにTwitterも活用した。「ねみんぐ」と「http://nemingu.com/」をTwitter検索にかけてRSSで登録し、Twitterでそれらが言及されるたびに分かるようにした。また、Twitterのプロフィール画像を「ねみんぐ!」にかけているユーザーも多かった。「ねみんぐ!」を試したユーザーがその結果をTwitterに投稿するたびにみんなで喜んだ。

 今後の「ねみんぐ!」についてはどう考えているのか。「ある程度作るところまで作った、と思っています。それにWebサービスは作り手が完成させちゃいけないとも思うのです。80%ぐらいがちょうどいいと思います。あとの20%はユーザーが作ってくれるはずです。遊び方を指示されても楽しくないですよね。砂場で『ここではお山だけ作ってください』と書いてあっても誰も遊ばないと思います」

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