まず青色申告ソフトがほかのソフトと違うところは、毎年購入する必要があることだ。理由は単純で、税制が改正されるからだ。
2007年(平成19年)分では所得税率の改正、定率減税の廃止、地震保険料控除の創設、減価償却制度の改正──などなどの変更がある。表計算ソフトのように、どこかのセルの項目名やパーセントを自分で変更するようなことはできないため、各年度に対応したバージョンが必要となるわけだ。ユーザーの立場からは少々不満に感じるが、メーカーの立場だとおいしいジャンルだといえよう。
また、無償サポート期間が短いのも特徴的だ。今回比較する3社の場合、ホロンは1年間となっているが、弥生、ソリマチは1カ月間。3社のサポート状況を比較すると以下のようになる。
メーカー | 製品名 | 実売価格 | バージョンアップ | 無償サポート | 有償サポート | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
弥生 | やよいの青色申告08 | 1万800円 | 8400円 | 1カ月 | 電話不可。FAX、メール対応 | 1万2600円 | 電話対応が可能。新製品発売時や確定申告対応版など法改正対応プログラムの無償提供。申告時期には土日メールサポート可能。 |
ソリマチ | みんなの青色申告9 | 8000円 | 1万500円 | 1カ月 | 電話、FAX、メール対応 | 6300円 | FAX、メール対応可。電話対応不可。新製品発売時や法令改正対応プログラムの無償提供。 |
インターチャネル・ホロン | やるぞ!青色申告2008 | 1万500円 | 6510円 | 1年間 | 電話、FAX、メール対応 | なし | − |
有償サポートは現在の価格、バージョンアップは前製品から現行製品への価格で、どちらも来年以降の価格は変わる可能性がある。どの製品も無償サポートを受けるにはユーザー登録が必須となる。
これを見ると、長く使い続けるならソリマチの「みんなの青色申告」が最も安い。有償サポートとバージョンアップが同額なので、ためらわず有償サポートに入会したい。弥生の場合、新規購入価格やバージョンアップより有償サポートが高いので、サポートを重視しない場合は悩ましいところだ。逆にホロンの場合はずっとサポートが受けられるので、バージョンアップを続ければソリマチとランニングコストは大差がない。有償サポートに入った場合、上記以外にも情報誌がもらえたり、純正サプライ品の割引などの特典があったりするので、詳しくは各社のサイトで確認してほしい。
さて、実際に3社の製品をインストールし、初期設定を行ってみた。
サポートに関しても、通常のソフトと大きく違うことがある。メーカーが回答できるのは、あくまでソフトの使い方で、会計に関する質問には答えられないという点だ。勘定科目や仕分けが分からない場合は税務署か税理士に聞くべきで、会計を理解した上でソフトの使い方が分からない場合だけメーカーサポートに質問することができる。
例えば原稿料が源泉徴収されて振り込まれた場合、引かれた分の貸方が売掛金で、借方が事業主貸ということを理解して初めて、ソフト上の入力方法を質問できる。という筆者も昨年の申告ではメーカーのサポートに「不親切」と思ったことがあった。もともと住んでいたマンションの固定資産を処理する方法を質問した時のことだ。「不親切じゃなくて答えられない」という事情をあるライターさんから聞いて、ようやく納得したものである。
実際に初心者が困るのは、ソフトの使い方よりも会計の処理方法が大半だ。結局は自力で本を読むなり、ネットで調べることになる。それでも分からなければ、税務署に相談するしかない。ちなみに筆者は開業前に税務署に開業について相談に行ったことがある。たまたまかもしれないが、驚くほど親切に対応してもらった。逆に追徴課税を受けた知り合いに聞くと「税務署は鬼だ」と言っていた。
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