第6回 構造化のカギは直線性と対称性新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(4/5 ページ)

» 2008年04月04日 10時50分 公開
[開米瑞浩,ITmedia]

直線性と対称性を執念深く探すこと

 もう一度図1をよく見てください。ちょうど中央付近に「店舗」がタテ一列に並んでいるところがありますね。

 これが「直線性」です。専門知識を分析していくと、どこかにこうした「一直線の構造」が出てきます。この「直線性」が見つかると構造化がしやすいので、ぜひ念入りに探してください。

 さらに、「対称性」の見られるのがこの部分です。

 「中高層住宅 対 低層住宅」「大学 対 小中学校」「病院 対 診療所」まで、見事に「大規模 対 小規模」の対称的な構造になっています。このようになんらかの意味で「対称的」と見なせる関係も専門知識の中には非常によく出てくるので、意識的に探してください。非常によく出てくるといっても、意識して探さないと見つからないので、その専門分野のプロでも気が付いていないことも実は珍しくありません。

 また、図1では左右方向を「生活系 対 歓楽系」という軸にしてあることにも注意が必要です。このような座標軸を切った結果、7種類の用途地域の間の下記のような構造が見えてきました。

  • 低層住居専用地域の1種と2種、中高層住居専用地域の1種と2種は主に順番に上のほう(人の出入りが多いほう)に伸びている
  • 一方、住居の1種と2種、準住居地域はそこから上と右(歓楽系の側)の双方向へ伸びている

 という構造です。結局、こういう構造が大事なんですね。こんな構造化がなされていると、7種の用途地域を丸暗記ではなく、1つの意味を持ったストーリーとして勉強することができるため、非常に忘れにくい、そして応用力の高い知識が得られるわけです。

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