しかし、メーカーが公表する印刷速度は、プリンタドライバの設定を変更するなど特定の条件下でのみ有効な場合もある。この場合、設定を変更しなければ印刷速度はメーカー公称より遅くなる。こうした例はインクジェット式のプリンタに多く、高速出力できるようにプリンタドライバを設定して、初めて高速印刷が行えるようになっている。
例えばセイコーエプソンのインクジェットプリンタ「PX-B500」では、メーカー公称である毎分37枚の高速印刷を行いたい場合、プリンタドライバで「速度優先」を指定しないと、高速印刷で出力できない。また、日本ヒューレット・パッカードのインクジェットプリンタ「Office Jet 9300」シリーズのプリンタドライバには、「高速印刷/エコノミー印刷」といって、インクを間引いて高速出力させる設定を用意している。
一方、レーザープリンタでは、メーカーが公称する印刷速度が実際の印刷速度であることが多く、プリンタドライバの設定をまったく変更せず、初期設定のまま印刷しても公称値の速度で出力される。
こうした部分を見ると、インクジェット式よりレーザー式のプリンタの方が、公称の印刷速度に対する信頼性が高いと理解しておくとよいだろう。
ただし、上記のようにプリンタドライバを設定すれば公称値どおりの速度で印刷できる場合もあるわけで、インクジェット式だからといって実際の印刷速度が必ずしも遅いとは言い切れないしドライバ設定を変更せずとも十分高速な製品がある点は注意が必要だ。
例えば前述の「PX-B500」では、プリンタドライバを「速度優先」に設定すると、公称している速度での出力が可能になる。
ただしこの場合はインクを間引いて出力されるので、印刷品質が低下する。かといって品質を確保するため、プリンタドライバを標準設定のまま印刷すると、今度はモノクロでは毎分約17枚、カラーでは毎分約12枚という速度まで落ちてしまう。こうした場合は、最終的には速度か品質かを選択するしかないだろう。品質重視だと低速度になるとはいえ、同じ価格帯にあるA4カラーのレーザープリンタと比較しても遜色(そんしょく)のない印刷速度を確保している。
ここで、実売価格が5万円台のA4インクジェットプリンタとA4カラーレーザープリンタの印刷速度を比較してみよう。比べるのはPX-B500と、Satera LBP5050N。
PX-B500はモノクロ毎分17枚/カラー毎分12枚で、Satera LBP5050Nはモノクロ毎分12枚/カラー毎分8枚となっており、同じ価格帯でもレーザー式よりインクジェット式の方が高速な場合があるのだ。このように価格に対する性能まで考慮すれば、インクジェット式の標準設定での印刷速度の不満は、それほど大きくはならないかもしれない。
また、常にカラー印刷を行うのであれば、モノクロの印刷速度で比較するのではなくカラーの印刷速度だけを考慮しよう。
ともあれ、標準設定での印刷速度は、レーザー式ならカタログスペック(メーカー公称値)に近く、インクジェット式は公称値の約半分程度と見なした方が無難だ。
ドクトルP というわけで今回のポイントは――。
プリンちゃん ふむふむ。ちょっとでもppmやcpmの数値が大きいものを選べばいいのね。
ターくん だねー。まだ候補が20台以上もあるからどう絞り込もうって心配だったんだ。これで不安が一気に吹き飛んだよ〜♪
ドクトルP それはよかった。ただね……実は速度に関してもう1つ、FPOっていうものもチェックしておけば、もっと絞り込みやすくなるんだよ。
プリンちゃん&ターくん エフ、ピー、オー?
ドクトルP そう。
プリンちゃん な〜んだ。まだほかにもあったんですね。
ドクトルP まあね。いっぺんに説明したら君たち混乱するだろ? だから順番に解説してってるわけ。ようし、少し休憩したら、次はもう1つのチェック項目について説明していくよ。
プリンちゃん はい。ターくん、休憩室行こ……ってあれ? ターくん、ターくん! フリーズしてる……すでに混乱してるみたい。
ドクトルP やれやれ……。
2人の絞込みはまだ続く――。
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