本体にはステータスを映し出す液晶モニタが設けられておらず、状況確認はすべてLEDによる表示とシンプルにまとまっている。プリンタ側で操作が可能なのは、印刷エラー発生時や間違った印刷の実行を停止させるジョブキャンセルボタンのみだ。
ジョブキャンセルボタンを押したときの動作、スリープモードへの移行時間、ネットワーク関連などのデバイス設定やキャリブレーション、クリーニング、印字位置調整などの操作は、プリンタステータスウィンドウから呼び出して行う。こうした設定状況の確認は、Color CAPTで印刷する上位モデルと同様だ。設定状況の確認はプリンタドライバやリモートUIからも行えるが、ここでは各ステータスの状況を印刷できる。
さてここからは、カラー8ppm/モノクロ12ppmという印刷速度を検証すべく行ったテストの結果を見ていく。テストの内容はWord 2007からJEITA JI(モノクロ)およびJ9(カラー)の電子協標準パターンをA4普通紙に印刷し、その速度をストップウォッチで計測するというものだ。Word 2007の印刷画面で「OK」をクリックした時点から最後の用紙が排出された瞬間までを5回計測し、その中間値を採用している。また、電源オンから印刷可能になるまでの時間も計測した。
ベンチマークテストの結果(すべてA4印刷) | |
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電源オンから印刷可能になるまで | 21.98秒 |
モノクロ出力(JEITA J1) | |
ファーストプリント | 24.81秒 |
12部プリント | 79.95秒 |
12部プリント(ファーストプリント含めず) | 59.72秒 |
カラー出力(JEITA J9) | |
ファーストプリント | 34.70秒 |
8部プリント | 86.06秒 |
8部プリント(ファーストプリント含めず) | 58.88秒 |
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate(SP1) |
プリンタドライバの設定はモノクロ/カラーともすべて標準設定だ。なお、ファーストプリントを含めない2項目に関しては、最初の用紙が排出された瞬間から計測を開始しているので、実際にはモノクロ13部、カラー9部の印刷となっている点に注意してほしい。また、Word 2007の印刷処理にかかる時間を含めた出力となるため、PCの性能次第では差が出るだろう。
結果は表の通りだ。メーカー発表のスペックでは電源オンから印刷可能になるまでのウォームアップ時間が25秒とされているが、今回のテストではそれより短い約22秒で印刷可能だった。ファーストプリントはカラー28秒/モノクロ22秒とされているが、今回のテストではPC側の処理時間も含めているため、カラー34.70秒/モノクロ24.81秒と少々時間がかかっている。
とはいえ、12部プリントの計測では良好な結果が出ており、プリンタドライバの標準設定でカラー8ppm/モノクロ12ppmでの利用が可能だった。他社製品に見られるようにLBP5050Nにもドラフトモードというデータを間引いて印刷するモードを持つが、こうした高速印刷が可能なモードに設定することなく、ドライバの標準設定で公称値の印刷速度を実現している点はさすがと思わせる。
印刷速度については、ビジネス用インクジェットプリンタでより高速な製品が出てきているため、カラーレーザーだから速いというアドバンテージはない。ただし、そこまで速さを求めないという一般的なユーザーならば、快適に使える速度だろう。
また、カラーレーザーということで普通紙へシャープに文字や図版を印刷できるメリットはある。実際に印刷品質をチェックしてみたところ、モノクロ文書の印刷では細かな文字がつぶれることなく出力され、画像データの表現力はカラーレーザーとして十分満足できる画質だった。
LBP5050Nは、実売価格が6万5000円前後という低価格モデルながら、ネットワーク対応のA4カラーレーザーでモノクロレーザー並みのコンパクトボディを実現しつつ、騒音や消費電力を抑えているのがウリだ。印刷速度に関しても、価格を考慮すれば納得できるレベルにある。
ただし、エントリークラスの製品なので、残念なことにオプション類が専用のペディスタルのみとなっており、増設カセットや両面印刷ユニット、大容量トナーカートリッジなどは用意されない。標準の最大給紙枚数は150枚とレーザープリンタにしては少ないため、頻繁に大量印刷を行う環境には向いていないだろう。
その一方でLBP5050Nの持つ特徴は、SOHOや店舗、個人ユースといった少人数でプリンタを使う環境で威力を発揮するに違いない。A4モノクロレーザーからの置き換えとして導入しても専有面積があまり変わらずにカラー出力が可能になることから、十分に魅力的な製品だと思う。
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