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» 2008年07月29日 11時20分 公開

インク目詰まりゼロを目指して:エプソンが本気で作った“ビジネス”インクジェットプリンタ――「PX-B500」を試す (4/4)

[小川夏樹,ITmedia]
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標準設定で不満のない印刷速度を確保、印刷品質も良好

 B500はモノクロ/カラーともに約37ppmの印刷速度をうたうが、実際の速度を検証するために行ったベンチマークテストを紹介しよう。ただし、約37ppmの最速設定となるのは、インクを間引いて印刷するいわゆるドラフトモード時だ。この設定のまま通常運用するとは考えにくいため、テスト時のドライバ設定は「標準」状態とした。

ベンチマークテストの結果(すべてA4印刷)
モノクロ出力(JEITA J1)
ファーストプリント 12.34秒
37部プリント(給紙カセット) 127.90秒
37部プリント(リアASF) 159.48秒
37部プリント(ファーストプリント含めず/給紙カセット) 119.40秒
37部プリント(ファーストプリント含めず/リアASF) 149.52秒
両面38部 19枚プリント(給紙カセット) 539.96秒
カラー出力(JEITA J9)
ファーストプリント 13.47秒
37部プリント(給紙カセット) 185.68秒
37部プリント(リアASF) 196.41秒
37部プリント(ファーストプリント含めず/給紙カセット) 158.24秒
37部プリント(ファーストプリント含めず/リアASF) 186.26秒
両面38部 19枚プリント(給紙カセット) 539.91秒
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate(SP1)

 テストはストップウォッチによる手動計測で、各テストを5回実施し、その中間値を採用している。具体的には、いつものようにWord 2007(JEITA J1およびJEITA J9の最初の1ページ)の印刷画面で「OK」ボタンをクリックした瞬間から計測を開始し、最後の用紙が排出される瞬間までを計測している。そのほかのドライバ設定は、ソートや拡大/縮小の機能がオフ、両面印刷計測時はそれを有効にしている。

 B500は消費電力の低さから常に電源を入れたまま運用すると思われるため、電源オンから印刷可能になるまでの計測は省略した。また、テスト結果はWord 2007の処理にかかる時間も含めた計測値になっている。

 テスト結果は表を見てもらえば分かるが、ファーストプリントを含めたモノクロ印刷で約17ppm、カラー印刷では約12ppmとなり、ファーストプリントを含めない速度ではモノクロ印刷で約18ppm、カラー印刷で約14ppmとなった。ドライバの標準設定では、残念ながら公称スペックの最速約37ppmという値には遠く及ばない。

 自動両面印刷の場合は、用紙のハンドリング時間を含めるため、モノクロとカラーで速度がほぼ変わらず、かかる時間も相当長くなってしまった。自動両面印刷は頻繁に使う機能というよりは、「いざとなれば両面印刷も可能」くらいに考えたほうが無難だ。

 とはいえ、ドライバの標準設定でモノクロ17ppm、カラー12ppmのプリンタなのだから、価格を考慮すると大きな不満は出ないはずだ。実際にテスト中は両面印刷の計測時以外、印刷速度で大きなストレスを感じることはなく、小気味よく印刷されるのを見ると、インクジェット機でもビジネスユースに十分使えると思った。

 印刷品質に関しては、エプソンが長年取り組んできた顔料インク搭載機だけあって、普通紙へのモノクロ印刷の品質に不満はない。また、普通紙を使ったカラー印刷も顔料インクジェット機ならではと思わせる品質だ。

プリンタドライバの標準設定で普通紙に印刷した文字を、600dpiでスキャンしたサンプル(写真=左)。顔料インクだけあって、細かなサイズでもシャープに読み取れるクオリティだ。ドライバの標準設定でこの品質ならば、十分だろう。300万画素のデジカメ写真の画像を普通紙に「きれい」「色補正(自動)」設定で印刷し、それを600dpiでスキャンしたサンプル(写真=右)。若干明るめに補正が効く傾向が見られるが、顔料インクジェットだけあって、速乾性、定着性、耐水性なども含め、品質的には満足できる

 なお、これは同社だけでなくビジネス向けインクジェットプリンタ全般にいえることだが、特徴として掲げる高速性を発揮するには「プリンタドライバ設定の変更が必要になる」という仕様は再考してもらいたい。ドライバの設定標準のまま、カタログでアピールする出力性能を実現できてこそ、高速エンジンを売り文句にできるのではないだろうか。

 「インクを間引く設定で印刷すれば速くなる」というのは、例えるならば、追い風参考時の100メートル走で世界記録が出たときのような「あくまで公式なレコードではない」という印象を受けてしまう。

 ドライバ標準設定の実測値でメーカー公称値を出すレーザープリンタが多い中で、こうした普段使わない設定での公称値を掲げるより、標準設定での実測値を素直に出したほうが、ユーザーにとって好印象なのはいうまでもない。

低価格なA4カラーレーザープリンタに十分対抗できる1台

 これまで紹介してきたように、今回新たにB500に搭載された機能は、もともと同社の大判プリンタやプロ向けモデルで培い、そして改良を重ねてきたものだ。それらの技術の粋を集めることで、B500は信頼性の高いビジネス向けA4インクジェットプリンタに仕上がったといえる。

 また、このような新機能はビジネス向けプリンタにとどまらず、今後はコンシューマー向けのプリンタにも、ぜひとも採用してもらいたいところだ。

 B500は、実売価格が6万円弱とビジネス向けプリンタとしてはエントリークラスにあり、高速なプリントエンジンを持ち、そして低消費電力と大容量インクカートリッジでランニングコストが低い、といった部分を考えると、やはり冒頭で述べたように低価格A4レーザープリンタ対抗の選択肢となるだろう。

 現在、ビジネス利用で低価格なA4カラーレーザーの購入を考えているならば、B500の導入も含めて検討することをおすすめしたい。使用環境によっては、B500のほうが適していることもあるはずだ。

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