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エプソンが本気で作った“ビジネス”インクジェットプリンタ――「PX-B500」を試すインク目詰まりゼロを目指して(2/4 ページ)

» 2008年07月29日 11時20分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

インク詰まりを低減する2つの新機能

 ビジネスユースに重要な信頼性を高めるための工夫としては、「インク詰まりの解消」と「ジャミング発生率の低下」がある。そのうち、目玉といえるのが「インク詰まりの解消」を達成するための2大機能だ。その1つには「ワイパークリーナー」が挙げられる。

 インクジェットプリンタは、プリントヘッドのノズルが詰まるのを防ぐ目的でワイパー機構を備えている。プリントヘッドは本体に収納される際にワイパーの上を通過するが、そのときにワイパーでヘッド表面のインクをふき取ることで、ヘッド上にインクが残らないようにする仕組みだ。こうすれば、ヘッドに残ったインクが乾くことで、ノズルが目詰まりしてしまう可能性は低くなる。

 ただし、このワイパー自体も長期間使用すると、ふき取ったインクで汚れてしまい、ふき取りが不完全になる可能性が高まってくる。そこでB500は新たに「ワイパークリーナー」を搭載することで、常にワイパーがきれいな状態でヘッドをクリーニングすることを可能にした。これにより、確実にヘッドをクリーニングできるというわけだ。

 次が「オートノズルチェック」と呼ばれる機能だ。これは同社の大判プリンタではすでに採用されているが、A4機ではB500が初搭載となる。この機能は印刷前にマイナス帯電させたインクを電極プレートを用いた検知板上にドロップし、ヘッドのノズルが詰まっているかどうかを自動でチェックするものだ。

 もし、ドット抜けが感知されれば、その時点でヘッドクリーニングを実行し、それから印刷するので、最初の1枚からドット抜けのない出力が可能になる。先述したワイパークリーナーとオートノズルチェックの併用によって、インクジェットプリンタの弱点であるインクの詰まりを極力なくすことに成功しているのはB500の大きな魅力だ。

紙送りの高速化とジャミング発生率の低下を両立

 紙詰まり(ジャミング)はインクジェットだけでなく、レーザーも含めてプリンタにとっては「鬼門」ともいえるトラブルだ。頻繁に紙詰まりを起こすようでは、どれだけ高速なプリントエンジンを持っていようとも意味はない。高速印刷を実現するには、大量印刷時でもジャミングを起こさずに高速な紙送りができることが絶対条件になる。

 B500では給紙カセット(フロントカセット)からの紙送り機構を全体的に見直すことで、高速に用紙を送った際のジャミング発生率を低下した。具体的には、用紙の先端部分と後端部分を正確に検知する機能(先端検・後端検)によって、次の用紙を送る時間の短縮、つまり高速化が可能になり、さらに紙送り用のローラーとは逆回転する「リタードローラー」と「重送防止爪」が、複数枚の紙が送られた際のジャミング発生を極力防いでいる。例えば、用紙を一度に2枚吸い込んだ場合は、リタードローラーと重層防止爪によって2枚目が押し戻されて紙詰まりを防ぐといった具合だ。

 なお、リアのASFを利用した場合は紙送り機構が異なるため、最速モードの設定でモノクロ約24ppm、カラー約23ppmの出力となる。次からは、B500のメンテナンス性や使い勝手などを見ていこう。

フロントオペレーションでメンテナンスにも配慮

 基本的なメンテナンスは本体の前面側から行う。本体前面の左上にインクカートリッジをセットするボックス、中央には排紙トレイとその直下に給紙用のフロントカセット、本体上部の後方にリアASF、本体前面の右側にはモノクロ液晶ディスプレイと操作ボタン類、その下部にメンテナンスボックスを配置している。

 メンテナンスボックスとは、ヘッドクリーニングなど用紙に印刷する以外で消費されるインクを吸収しておくための箱だ。B500の場合、メンテナンスボックスはメーカーサービスの保守点検品ではなく、消耗品として実売価格2000円前後で提供されているので、ユーザーによる購入と交換が可能だ。

インクカートリッジは各色独立式で、前面から手軽に着脱できる(写真=左)。前面の右下にあるカバーを開くと、メンテナンスボックスを交換可能だ(写真=中央)。インタフェースは背面にあり、USB 2.0と100BASE-TXの有線LANを標準装備する(写真=右)

 フロントオペレーションを可能にするため、背面側はシンプルだ。本体背面の中央上部には両面印刷ユニット、背面右下に電源コネクタを配置し、有線LANとUSB 2.0ポートは背面左上に配置されている。万が一の紙詰まりにも対応可能なように、自動両面印刷ユニットは取り外せる構造だ。

 利用可能な用紙のサイズは、フロントカセットではA6縦〜A4縦、100〜216(幅)×148〜297(長さ)ミリまでのユーザー定義サイズで、厚さは0.08〜0.11ミリまで。リアASFではA6縦〜A4縦、ユーザー定義サイズが50.8〜216(幅)×127〜1117.6(長さ)ミリ、厚さが最大0.25ミリまでとなる。

 また、フロントカセットでは普通紙や両面上質普通紙のみが利用可能で、はがき(厚さ約0.23ミリ以下、サイズは往復はがきまで)や封筒(洋型封筒1号〜4号、長型封筒3号/4号)などを印刷したい場合は、リアASFを利用する。また、エプソンのインクジェットプリンタにしては珍しく、フチなし印刷には対応していない。

背面に装着してある自動両面印刷ユニットは、メンテナンスのために着脱できる構造だ(写真=左)。フロントカセットは大型で、A4普通紙を最大500枚セット可能(写真=中央)。リアASFはA4普通紙を最大150枚、封筒を15枚、はがきを50枚、コート紙を70枚セットできる(写真=右)

単機能機ながらモノクロ液晶と操作ボタンを搭載

モノクロ液晶と操作ボタンを用意している

 B500は単機能機ながら、モノクロ2ライン表示の小型液晶ディスプレイと各種設定・操作用のボタンを搭載している(B300は非搭載)。液晶ディスプレイには、各インクの残量やプリンタの状況が表示される仕組みだ。

 設定変更や確認を行う場合は、液晶ディスプレイの下に用意されている中央にOKボタンを持つ十字ボタンを利用する。本体側の操作で設定変更や確認可能な項目は多い。電源スイッチはハードウェア式でメニュー変更時も電源をオフにできるので、設定中にうっかり電源スイッチを押してしまわないように注意が必要だ。

 メニューの操作は上下左右の矢印ボタンを組み合わせて行うが、ネットワークの手動設定などで分かりにくい部分が見受けられるのは残念だ。液晶ディスプレイをもう少し大きくして表示できる情報量を増やせば、かなり改善できるだろう。

 各種設定の確認や変更は、別途用意されているHTMLメニュー「EpsonNet Config Rev.2.2a」やWindows上で使える設定ツール「EpsonNet Config V2」を利用するほうが簡単だろう。ネットワークで運用可能なのは、原則としてTCP/IPのWindowsネットワークだ。SNMPエージェント機能も搭載されているので、B500をプリンタ一括管理の対象にできる。

 オプションで用意されている「EPSON Offirio SynergyWare PrintDirector」をサーバマシンに組み込めば、より詳細にプリント環境の管理が可能だ。ほかにもUPnPやMacOS Xで搭載されたプロトコルのBonjourに対応するが、現状ではWindows 2000/XP/Vista(XPとVistaは64ビット対応)向けにしかプリンタドライバが用意されておらず、Mac OSでの動作はサポートされていない。

有線LANでの運用時には、B500に内蔵されているHTMLメニューの「EpsonNet Config Rev.2.2a」(写真=左)と「EpsonNet Config V2」(写真=中央)の利用が可能だ。EpsonNet Config V2は、HTMLメニューと同じ項目の設定ができる(写真=右)

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