第1回 最新複合機の傾向と注目モデルをチェック:複合機07年モデル徹底攻略(1/3 ページ)

» 2007年12月17日 16時45分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

最新複合機のキーワードは「自動補正」「Web印刷」「高速化」

 10月上旬から、各メーカーが個人向けインクジェット複合機の新モデルを市場投入し、店頭をにぎわせている。例年に比べて従来機からの変化は大きなものではなく、機能のブラッシュアップとラインアップの整理を図った年といった印象だ。とはいえ、各社の製品とも昨年にはない新機能を追加しており、着実な進化が見られる。

 本特集では5回に分け、複合機2007年モデルの注目製品をピックアップし、機能、画質、速度などを横並びで徹底比較する。取り上げたのは、個人向けプリンタ市場でトップシェア争いを繰り広げているエプソンとキヤノン、そして世界市場で支持されている日本ヒューレットパッカードの製品だ。まずは新モデル全体のトレンドを見ていこう。


オートフォトファイン!EXのシーン自動判別に「夜景」が追加された

 エプソンとキヤノンは、写真印刷の自動補正にかなり力を入れてきた。エプソンは「Epson Color」をさらに強化。写真印刷時の自動補正機能「オートフォトファイン!EX」が進化し、撮影シーンの自動判別アルゴリズムに従来からの「人物」「風景」「一般画像」に加え、「夜景」を投入することで、判別精度を向上させている。補正モードをユーザーが選択することも可能だ。また、肌色の補正精度も高めた。

 ユニークなところでは、人物の顔を自動補正する新技術「ナチュラルフェイス」を導入した。これにより、顔の輪郭周辺をスリムに印刷する「小顔補正」と、肌の白さを補正する「美白補正」の機能を自動で同時に適用できる。

色補正は、従来のトーンカーブ調整を明るさ成分(Y)と色成分(Cb/Cr)に分解するように内部の処理を変更し、肌色の補正精度と色かぶりの補正精度を向上(写真=左)。補正を行う前(写真=中央)と、ナチュラルフェイスによる小顔+美白補正を行ったサンプル(写真=右)。写真全体の縦横比は変わらず、輪郭周辺がスリムに、肌が色白に補正される

 対するキヤノンの自動補正は、そのままズバリ「写真自動補正」という名称だ。こちらもほぼ全自動で写真の撮影シーンを自動判別して適切な補正を行う。シーン判別の種類は、「ポートレート」「風景」「夜景」「スナップ(人物+風景/人物+夜景)」だ。エプソンと同じように写真の中から人物の顔を自動検出し、肌色を自動補正する機能も実装している。

 日本HPは、従来からの写真自動補正機能であるHP Real Lifeテクノロジーを継承した。ポイントは前の2社とは異なり、PCからのWeb印刷機能を大幅に強化したことだ。Internet Explorer 6/7用のプラグインソフト「HP Smart Web Printing」を追加し、Webページの右端が切れない印刷、必要な部分のみ印刷、拡大・縮小印刷、WebページのPDF保存といった機能を実現している(Firefox版とSafari版もリリース予定)。

人物の顔と撮影シーンを自動判別するキヤノンの「自動写真補正」機能(写真=左、中央)。日本HPの「HP Smart Web Printing」は、複数のWebページで必要な部分だけを範囲選択して切り出し、レイアウトして印刷できる(写真=右)

 一方、印刷ヘッドなどプリンタの核となるハードウェアを更新したのはエプソンのみだ。新開発の印刷ヘッドでは、複数サイズのインク滴を打ち分ける「Advanced-MSDT」技術が進化した。従来は1.5〜7ピコリットルの範囲でインク滴を打ち分けていたが、1.5〜11ピコリットル範囲にワイドレンジ化を果たしている。さらにヘッドの駆動周波数を45kHzから60kHzに高めており、最速設定時の印刷だけでなく、標準設定時の印刷や写真印刷も高速化した。

 キヤノンと日本HPの新モデルは、基本的に従来のハードウェアを踏襲した。もっとも、キヤノンは電源投入からキー操作が可能になるまでの時間を短縮し、日本HPは読み込んだ写真データのサムネイルをメモリカード上にキャッシュすることでメニュー操作のレスポンスを高速化するなど、各社とも速度面には配慮している。

エプソンは印刷ヘッドを新開発し、インクの噴射能力を向上させた(写真=左)。キヤノンは、モデルによっては電源ボタンを押してから4秒で起動する「クイックスタート」機能を搭載(写真=中央)。日本HPは読み込んだ写真データのサムネイルをメモリカード上にキャッシュし、メニュー操作のレスポンスを高速化した(写真=右)

 製品ラインアップ全体では、付加機能による差異化がより明確になっている。フィルムスキャンのニーズは年々減少しているため、フィルムスキャンに対応したモデルは少なくなり、多機能な製品はハイエンドに集中するようになった。売れ筋となるミドルレンジでは機能の絞り込みが進み、ラインアップ構成のスリム化も見られる。日本HPについては、デジタルカメラと複合機をUSBで直結してダイレクト印刷するPictBridgeインタフェースを、利用者が少ないとの調査結果から省略してきた(一部モデルは搭載)。

 今年の最新複合機を選ぶにあたっては、モデルごとの機能差を十分に把握しておく必要がある。モデルチェンジの概要や製品ラインアップについては、下記の記事に詳しいので、併せて参照してほしい。


狙いめはミドルレンジ以上の複合機

 最新複合機の傾向をつかんだところで本題に入ろう。今回の検証では、エプソン、キヤノン、日本HPから合計6モデルの複合機を取り上げる。各社ともハイエンドクラスとミドルレンジクラスから1モデルずつ選んだ形だ。

 単純にプリンタ、スキャナ、コピーの機能を使うだけならば、安価なエントリークラスの複合機でも十分だが、上位クラスと比べて性能(画質や印刷速度)や機能の差が大きく、液晶モニタのサイズも小さい。多少の予算を上乗せしてでもミドルレンジ以上のモデルを購入したほうが、写真印刷の画質や使い勝手などトータルで満足が得られるはずだ。

 また冒頭で述べたように、フィルムスキャン対応をはじめとする多機能なモデルはハイエンドに集中し、市場での売れ筋はミドルレンジに集中する傾向がある。こうした状況を踏まえ、本特集ではエントリークラスを省き、ハイエンドとミドルレンジの製品にフォーカスした。

 それでは、次のページからピックアップした6モデルを簡単に整理していこう。

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