日本HPのハイエンドは「HP Photosmart C8180 All-in-One」だ。タッチパネル式の3.5インチ液晶モニタを採用し、シンプルなメニュー構成と高い操作性も実現した。LightScribe対応のDVDスーパーマルチドライブを内蔵し、メモリカード画像の保存やCD/DVDメディアからのダイレクト印刷が行える。昨年のハイエンドモデル「HP Photosmart C7180 All-in-One」とはまったく異なる製品といえる。
インクシステムは2005年に導入された染料6色のスケーラブル・プリンティング・テクノロジー(SPT)を引き継いでおり、若干ながら印刷速度は向上した。最小インク滴は5ピコリットルとエプソンやキヤノンより大きいが、粒状感はほとんど目立たない。
イメージセンサに注力しているのも大きな特徴で、実に光学9600dpiという高解像度のCCDを搭載する。一般的なRGBのLED光源に加えて、オレンジ系、イエロー系、シアン系の3色LEDを設けた6色スキャンにより、各色16ビット×6の96ビットスキャンを行う。
また、日本HPの新しい複合機の中で、フィルムスキャンに対応するのはC8180だけだ。35ミリネガのスリーブ(連続6コマ)と、35ミリポジのマウント(連続4コマ)の読み取りに対応する。自動両面印刷ユニットはオプションだが、100BASE-TXの有線LANとIEEE802.11.g/bの無線LAN、Bluetoothのインタフェース、前面2系統の給紙機構を備えるなど、全体的に高機能だ。


プリントエンジンはSPTによる染料6色の独立インクカートリッジ(写真=左)。給排紙は前面で、給紙トレイは上下の2段構造だ(写真=中央)。上段のフォトトレイにはL判などの小さい用紙、下段のトレイには最大A4の用紙をセットする。スキャナはCCDセンサで、9600×9600dpiの6色スキャンに対応(写真=右)

本体サイズは448(幅)×392(奥行き)×216(高さ)ミリで、重量は約11.4キロだ。前面の排紙トレイガイドを伸ばして排紙した状態では、奥行きが約510ミリとなる。自動両面印刷ユニットを標準搭載していないため、多機能な割に設置性は優秀だ日本HPのミドルレンジモデル「HP Photosmart C6280 All-in-One」は、昨年の「HP Photosmart C5180 All-in-One」から自動両面印刷の機能を加えた製品。上位機と同様、本体前面からの2系統給紙に対応する。このクラスで100BASE-TXの有線LANを標準装備するのが特徴だ。2.4インチの液晶モニタを備えている。
インクシステムは染料6色のSPTで、画質や印刷速度はC8180と基本的に変わらない。イメージセンサはCISを引き続き採用。光学解像度は2400dpiから4800dpiに強化された。フィルムスキャンやCD/DVDレーベル印刷の機能は用意されていない。なお、C6280は販売店を限定しており、ヨドバシカメラ、ビックカメラ、ソフマップといった量販店とWeb販売で購入できる。


SPTによる染料6色インクシステムを継承(写真=左)。前面のみで2系統の給排と排紙が可能な機構を備えており、自動両面印刷も可能だ(写真=中央)。スキャナは4800×4800dpiのCISセンサを搭載する(写真=右)

本体サイズは446(幅)×443(奥行き)×189(高さ)ミリで、重量は約10.3キロだ。前面の排紙トレイガイドを伸ばして排紙した状態では、奥行きは約560ミリとなる。背面に自動両面印刷ユニットを取り付けるため、C8180よりも奥行きが長い(C8180は自動両面印刷がオプション)最後に、今回取り上げた6モデルの基本スペックは下表の通りだ。ハイエンドクラスとミドルレンジクラスで分けて横並びにしてみた。
| 今回取り上げる複合機6モデルの基本スペック(1) | |||
|---|---|---|---|
| モデル名 | PM-T960 | MP970 | C8180 |
| メーカー | エプソン | キヤノン | 日本HP |
| 液晶モニタ | 3.5インチ | 3.5インチ | 3.5インチタッチパネル |
| インク | 染料6色 | 染料6色+顔料Bk | 染料6色 |
| ノズル数 | 90本×6色 | 512本×7色 | 650本×6色 |
| 最高解像度 | 5760×1440dpi | 9600×2400dpi | 4800×1200dpi |
| 最小インク滴 | 1.5ピコ | 1ピコ | 5ピコ |
| L判印刷(標準設定) | 19秒 | 29秒 | 17秒 |
| L判写真1枚コスト | 19.6円 | 20.2円 | 19.5円 |
| 2系統給紙 | ○ | ○ | ○ |
| 給紙容量 | 前面:約150枚、背面:約150枚 | 前面:約150枚、背面:約150枚 | 前面1:約100枚、前面2:約20枚 |
| 自動両面印刷 | ○ | ○ | 別売 |
| CD/DVDレーベル印刷 | ○ | ○ | ○(LightScribe) |
| スキャナ | 3200×6400dpi(CCD) | 4800×9600dpi(CCD) | 9600×9600dpi(CCD) |
| フィルムスキャン | ○ | ○ | ○ |
| メモリカードリーダー | SD、MS、CF、xD | SD、MS、CF、xD(要アダプタ) | SD、MS、CF、xD |
| USB 2.0 | ○ | ○ | ○ |
| 有線LAN | ○ | ○ | ○ |
| 無線LAN | ○ | − | ○ |
| Bluetooth | 別売 | 別売 | ○ |
| サイズ(幅×奥行き×高さ) | 446×503×242ミリ | 471×396×214ミリ | 448×392×216ミリ |
| 重量 | 約12.8キロ | 約11.9キロ | 約11.4キロ |
| 今回取り上げる複合機6モデルの基本スペック(2) | |||
|---|---|---|---|
| モデル名 | PM-A840 | MP610 | C6280 |
| メーカー | エプソン | キヤノン | 日本HP |
| 液晶モニタ | 2.5インチ | 2.5インチ | 2.4インチ |
| インク | 染料6色 | 染料4色+顔料Bk | 染料6色 |
| ノズル数 | 90本×6色 | 1536本×2色(C/M)、512本×3色(Y/染料Bk/顔料Bk) | 650本×6色 |
| 最高解像度 | 5760×1440dpi | 9600×2400dpi | 4800×1200dpi |
| 最小インク滴 | 1.5ピコ | 1ピコ | 5ピコ |
| L判印刷(標準設定) | 22秒 | 18秒 | 17秒 |
| L判写真1枚コスト | 19.8円 | 14.5円 | 19.5円 |
| 2系統給紙 | − | ○ | ○ |
| 給紙容量 | 背面:約120枚 | 前面:約150枚、背面:約150枚 | 前面1:約100枚、前面2:約20枚 |
| 自動両面印刷 | − | ○ | ○ |
| CD/DVDレーベル印刷 | ○ | ○ | − |
| スキャナ | 1200×2400dpi(CIS) | 4800×9600dpi(CIS) | 4800×4800dpi(CIS) |
| フィルムスキャン | − | − | − |
| メモリカードリーダー | SD、MS、CF、xD | SD、MS、CF、xD(要アダプタ) | SD、MS、CF、xD |
| USB 2.0 | ○ | ○ | ○ |
| 有線LAN | 別売 | − | ○ |
| 無線LAN | 別売 | − | − |
| Bluetooth | 別売 | 別売 | 別売 |
| サイズ(幅×奥行き×高さ) | 450×413×205ミリ | 450×389×188ミリ | 446×443×189ミリ |
| 重量 | 約8.3キロ | 約10キロ | 約10.3キロ |
こうして表にまとめてみると、ハイエンドクラスは液晶モニタが大きく、フィルムスキャンへの対応や、接続インタフェースが充実しているなどのメリットが見られるが、プリント、反射原稿スキャン、コピーといった複合機の基本性能は、ミドルレンジクラスでも見劣りしていないことが分かる。次回は、ここで取り上げた6台の複合機が搭載する機能と操作性をチェックしよう。
第2回はこちら。
複合機07年モデル徹底攻略:第5回 複合機6モデルのスピードを比較検証する
複合機07年モデル徹底攻略:第4回 複合機6モデルの画質を解明する
複合機07年モデル徹底攻略:第3回 複合機6モデルの付属ソフトを極める
複合機07年モデル徹底攻略:第2回 複合機6モデルの機能と操作性を比較する
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