通勤電車で締め切りを強制的に作るのだシゴトハッカーズ(3/3 ページ)

» 2008年10月23日 15時59分 公開
[大橋悦夫、佐々木正悟,ITmedia]
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新しい習慣は古い習慣に組み込む

 英語のリスニングやオーディオブックによる勉強など、何か新しいことを習慣にしようと思ったら、「古い習慣に組み込む」というのが非常にうまい方法です。

 通勤時間というのは特にいろいろな制約があって、ある特定の行動しかとれないようになっているので、この時間を活用して、勉強や自己啓発にいそしむことができるのであれば、これはかなり有意義な時間の過ごし方になるでしょう。

 古い習慣に新しい習慣を組み込むという方法がうまくいくのは、わざわざあらためて勉強や読書を新しい習慣として確立しなくても済むからです。

 何か新しいことを始めようと思ったとき、人は環境設定から丸ごと新しく作り上げようとしますし、そうしなければならないこともあります。

 例えば、フィットネスクラブに通うという習慣をあらためて打ち立てようと思うと、まずフィットネスクラブに入会し、お金を払って、今まで全く存在していなかった一定の時間、60分〜120分を捻出(ねんしゅつ)し、少なくとも習慣になるまでは意識的にフィットネスクラブに通う必要があります。

 こうした行動を、あらためて行おうとすると、条件が不利になったとき、例えば外がとても寒いとか、雨が降っている日などがきっかけとなって、挫折しやすくなります。

 しかし、すでに習慣として根付いている行動の場合、その行動が挫折するという可能性は極めて低いものです。

 例えば、毎日散歩をする習慣のある人は、おそらく寒いとか、雨が降ったという理由によって散歩をやめる日があったとしても、散歩の習慣そのものが消失してしまう可能性は低いでしょう。

 したがって、散歩という習慣がすでに成立しているのであれば、散歩中にオーディオブックを聞く、という活動を追加することにより、オーディオブックを聞く習慣をも成立させやすいのです。

 同じように通勤時間というのは、必ずしも愉快な習慣ではないかもしれませんが、それが何年も続いているものであれば、いきなりぷつっと消えてしまったりすることはまずありません。その通勤という習慣の上に、新しい習慣を乗せようとすることによって、あらためて自分の習慣を追加するということが可能になります。

 ただ、どれほど「古い習慣に新しい習慣を組み込むのがよい」といわれても、その古い習慣をどう見つけたらよいのか、と問う人もいるかもしれません。つまり、自分には新しい習慣を乗せる土台となる古い習慣など、何も見つからないというわけです。

 しかし、実際にはそんなことはあり得ません。

 人間というのはほとんどあらゆる時間帯を、何らかの習慣によって過ごしているものです。食事をするのも習慣のようになっているはずです。歯をみがく、夜眠る、いずれも習慣的に行われています。

 実際、私たちは生活の90%以上を習慣的に過ごしているのですから、新しい習慣を乗せるための古い習慣というものを見いだすのは、決して難しくはないはずです。

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筆者:大橋悦夫

大橋
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1974年、東京生まれ。ブログ「シゴタノ!仕事を楽しくする研究日誌」主宰。学生時代よりビジネス書を読みあさり、システム手帳の使い方やスケジュール管理の方法、情報整理のノウハウなどの仕事術を実践を通して研究。その後、ソフトウェアエンジニア、テクニカルライター、専門学校講師などを経て、現在は仕事のスピードアップ・効率アップのためのセミナーや研修を手がける。デジタルハリウッド講師。著書に『「手帳ブログ」のススメ』『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『チームハックス 仕事のパフォーマンスを3倍に上げる技術』『そろそろ本気で継続力をモノにする!』『Life Hacks PRESS vol.2』『LIVE HACKS! 今を大切にして成果を5倍にする「時間畑の法則」』、近著に『成功ハックス』がある。

筆者:佐々木正悟

佐々木
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心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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