説明とは相手に向かって話すことではない――話し下手な人のための説明力向上法人を動かす話し方講座(2/2 ページ)

» 2009年06月15日 12時30分 公開
[水野浩志,Business Media 誠]
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テクニック:相手の理解・納得度を高める事前準備

 では、どうすれば相手に理解、納得をしてもらえるような説明力を身につけることができるでしょうか。

 私自身も以前は説明力がなく、説明トークが暴走して、相手を置いていってしまうタイプでした。どうにもうまくいかないことも自覚していましたので、説明力を上げるためのテクニックが書かれている本などを読んで勉強しました。しかし、話し方の形は体をなしてきたものの、相手が私の話を理解してくれた度合いが大きく高まったかというと、決してそんなことはありませんでした。

 そこで、悩みに悩んだ末、私が取り組んだのは、

  • 要所要所で話を区切り、今までの説明を理解してもらえたかを相手に確認する

 ということ。

 少し説明しては、

  • ここまではよろしいですか?
  • この点はご理解いただけましたか?

 と相手に確認を取っていく、ということをやったのです。

 そうすると、相手も納得していれば大丈夫だと答えてくれるし、疑問点があればその点を質問してくれるので、それに対してまた説明して、納得してもらった上で、次のステップを聞いてくれるわけです。

 こうやって、こまめに相手の理解、納得を確認することを意識的に説明のプロセスに設定したことで、聞き手を置いていってしまうような説明をすることがなくなりました。また自分のどの説明で、相手が理解できなくなってしまうのかといったことも、その場で確認が取れ、自分自身の説明力をその場で磨くこともできるようになったのです。

 説明力を高める表現テクニックは、ネットで検索すればたくさん見つかります。そして、そのテクニックを使えば、説明力は確かに上がります。

 しかし、そのテクニック最高のパフォーマンスを発揮するためには、自分がテクニックを駆使した結果が、きちんと相手に届いているかの確認を、常に怠らないことです。

 説明のうまい人は、話し方が上手なだけでなく、実は、常に自分が話していることが、きちんと相手に伝わっているかどうかを確認しながら話しているんですよね。

 もちろん、いちいちこまめに質問したりなどはしないまでも、相手の反応は常にうかがいつつ、伝わってなければ、再度分かりやすい説明を試みるなど、臨機応変に対応を変えているのです。

 しかし説明が不得意な人が、いきなりこんな上級者のマネをしようと思っても無理でしょう。だからこそ、まずは説明をこまめに区切って、理解度を相手に質問するという段取りを、あらかじめ準備しておくのです。

 改めて言いますが、自分の説明力を上げるためには、自分の説明の何が相手に伝わり、何が相手に伝わらなかったのかを見極めること。そして、伝わらなかったときには、伝わるまで手を替え品を替えて伝え続けるということ。

 そうやって、相手が理解してくれたかを、きちんとくみ取りながら話をするという姿勢を相手に見せることが、とても重要なことだと私は思います。

 なぜなら、その姿勢をきちんと相手に見せることで、相手も自分のことを理解しようと努力してくれるあなたの説明を、前向きに理解しようとしてくれるのですから。

著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップやモチベーション創造、自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や講師としてのマインド、人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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