樹を植えるのに最適な時期は20年前である。その次に最適なのはまさに今だ名言で読む「リーダーの必読書」

「ちょっと話がしたいんだ。弁護士を交えないで、2人だけでね」。トムとクリスは数年間、共同経営者の仲だったが、今の状況下では信頼関係が壊れていた。

» 2009年10月21日 11時33分 公開
[フランクリン・コヴィー・ジャパン,Business Media 誠]

 樹を植えるのに最適な時期は20年前である。その次に最適なのはまさに今だ。

――中国の格言 

 ある男(ここではトムと呼ぶ)の経験について考えてみよう。彼は長年、大手不動産開発会社に勤務し、最終的にその会社の共同経営者になった。ある時、不動産市場が崩壊し、彼の会社も分裂しかかった。内紛が後を絶たず、トムは会社を辞めた。訴訟も、それに対する反対訴訟も起こされた。トムは主要な共同経営者として、多数のビルに出資していた。信じられないことだが、数年経っても訴訟手続きの証拠の開示や精査がまだ続いていた。

 ついにトムはしびれを切らし、より良い方法を模索し始めた。彼は、当時その事業を担当していた共同経営者(ここではクリスとする)に電話し、こう言った。「ちょっと話がしたいんだ。弁護士を交えないで、2人だけでね」。トムとクリスは数年間、共同経営者の仲だったが、今の状況下では信頼関係が壊れていた。だが、クリスは会って話をすることに同意した。

 トムは、クリスの言い分を心底理解しようと思って話に臨み、彼はまず聞き役に徹した。その後、クリスの言ったことを正しく理解したか口頭で確認した。クリスは、自分の真意が伝わったと感じると、今度は進んでトムの話に耳を傾けた。

 会話をしているうちに、2人がかつて一緒に経営にあたっていた頃に築いた信頼があっという間に蘇った。訳があって袂を分かつ格好になったが、2人を結ぶ絆はまだ残っていたのだ。そして、まさにこの日の話し合いで合意に達し、問題を解決したのだった。

 お互いに相手の話に耳を傾け、以前の信頼の一部を取り戻す作業を経て、この2人の男は、たった30日間で実行できる解決策を考え出した。こうして、それまでの数年間の法廷闘争によって生じた憎悪、苦痛、時間と金の浪費に終止符が打たれたのである。

(『スピード・オブ・トラスト』54〜55ページより抜粋)

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『スピード・オブ・トラスト 「信頼」がスピードを上げ、コストを下げ、組織の影響力を最大化する』

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 「どんな状況であれ、信頼ほど即効性が期待できるものはないと断言できる。そして、世間の思い込みに反し、信頼は自分でなんとかできるものなのだ」――。

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